きょうから名実ともに5月相場入り。相場格言で「5月に株を売ってどっか行け、9月に戻ってくることを忘れるな」とあるとおり、5~9月は相場が弱いイメージがある。しかし5月相場を振り替えると、日経先物は2014年以降、4年連続で上昇。2015年には月間で5.38%高となった。
2013年5月に米連邦準備理事会(FRB)の早期金融引き締めが警戒され、いわゆるテーパータントラムが起きたことが近年印象深いが、2012年(10.21%安)となったのも除けば5月だからといって特別弱いということはない。米決算シーズンが好調で、国内企業の決算発表もこれから本格化する中、1株当たり利益(EPS)の上昇に伴うバリュエーション改善、自社株買い・増配などの株主還元策に期待が高まりそうだ。一方で気になるのは、日経平均株価を株価収益率(PER)で割って算出したEPSが2月以降は1700円を挟んで高止まりしたままで、史上最高値圏にある割には一段と増加していない現状である。ドル円が109円台を維持してガイダンス・リスクは和らいでいるが、決算シーズンにも関わらずEPSの伸びが鈍化するようだと業績相場への移行は難しくなりそう。
外部環境としてはドル指数(DXY)が30日に91.82と1月11日以来、約3カ月ぶりのドル高水準を回復してきたことは好材料。対ユーロでドル高基調が強まっており、ドル円も110円の大台回復が視野に入っている。2月以降の世界同時株安局面では、米長期金利上昇に端を発して恐怖指数のVIXが上昇して荒っぽい展開になったが、VIXも落ち着く中、足元で素直に米金利高がドル高に繋がっている。市場が平穏な中、昨年夏のリバウンド局面のようにドル高・日経平均高の流れが強まれば、米株に比べて出遅れ感があった日本株に見直し買いが入る流れが続きそうだ。
【ドル指数(DXY)と共に日経平均株価が強い流れ】
(注)QUICK FactSet Workstationより作成
日経先物をテクニカルで見ると、27日は下ヒゲの長い小陽線引け。いわゆる「カラカサ」で高値圏に出現した場合は上げ一服を示すものとなっている。2万2510円まで上昇して高値引けとなり、2月27日の戻り高値に面合わせしたことで中期のダブル・トップを形成したように見えるが、一目の雲の上限を抜けたことで強気地合いが続くと期待したい。目先の上値メドは年初来高値(2万4140円)からの下げ幅の61.8%戻しにあたる2万2615円があげられる。下げた場合は4月19日高値(2万2360円)、雲の上限(2万2145円)がサポートになりそうだ。なお東京運命学院の気学運勢暦によれば、きょうは「下げ続けてきた時は小底入れとなる日」とある。(片平正ニ)
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