外国為替市場で、ブラジルの通貨レアルが約2年ぶりの安値圏で推移している。米長期金利が上昇基調にあり、新興国通貨には売り圧力がくすぶる。アルゼンチンが通貨防衛のために政策金利を40%に引き上げるなどといった動きが出る一方で、ブラジルでは、物価上昇率の鈍さから中銀が利下げ継続の構えを崩していない。10月に予定される大統領選が大混戦の様相を呈していることも材料に、レアル相場はじり安に向かうとの見方が優勢だ。
レアル相場は年初から11日までに1割近く下落した。心理的節目の1ドル=3.5レアルを下回り、14日は3.6レアル前後と2016年6月以来ほぼ2年ぶりの安値圏にある。
レアル売りが続いているのは、同国の消費者物価指数の伸び率が歴史的な低さにとなっていることが要因だ。10日発表の4月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比2.76%。3月から小幅に上昇したとはいえ、ブラジル中央銀行の物価目標(4.5%を中心にプラスマイナス1.5%)の下限を下回る。2015年末から16年初めにかけては前年比上昇率は10%を超えていた。
ブラジル中銀は15~16日に通貨政策委員会を開く。3月の前回委員会で12会合連続となる利下げを決めた際、声明文で「次回会合に関して、現時点で、追加の金融緩和政策が適切であるとみている」と追加利下げを示唆していた。「通貨安より足元のインフレ率を重視している」(みずほ銀行の佐々木貴彦マーケット・エコノミスト)との見方が多く、市場では16日に基準金利を現行の6.50%から過去最低の6.25%に引き下げるとの予想が支配的だ。
10月に予定される大統領選の行方が混沌としていることもレアル相場の先安観につながっている。これまでの世論調査では汚職容疑で有罪判決を受けているルラ元大統領の支持率がトップ。だがルラ氏は4月に収監されており、大統領選への出馬は絶望視されている。みずほ銀行の佐々木氏は「ルラ氏の支持票がどの候補者に流れるか現時点では不透明感が強い」と言い、年内にレアルは対ドルで3.8レアル台への下落余地があるとみる。
2017年の貿易黒字が過去最大を記録するなど、対外収支が大幅に改善する中で「実需のレアル売りはほとんどない」(大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジスト)との指摘もある。だが、利下げを繰り返した結果、政策金利は新興国の中では低い6%台まで低下した。「低金利が続けば、海外からの証券投資フローの拡大は見込めず、レアルが上昇に向けて逆回転するのは難しい」(大和証の石月氏)との声も出ている。
【日経QUICKニュース(NQN) 菊池亜矢】
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