リーマン・ショックからちょうど10年になるのを前に不吉な兆候が見えている。
28日の米国株式市場で恐怖指数のVIXが続伸し、2.79%高の12.50で終えた。VIXの上昇は、今後30日間でS&P500指数が上げるよりも下げる方に見込むオプション取引が多いことを意味する。通常は下げ相場でVIXが上昇する傾向にある。投資家心理の不安感を示すとされる水準の20にはまだ遠いとはいえ、S&P500が連日で史上最高値を更新する上げ相場でVIXも上昇する現状は警戒されそうだ。
(QUICK FactSet Workstationから)
投資アドバイスを手掛けるJ.ライオンズ・ファンド・マネジメントの28日付のブログによれば、S&P500が強いのにVIXが余り下がらなかったのは過去20年で3回あった。具体的には①1999年12月~2000年3月、②2007年4月~10月、③2014年12月~2015年2月――の時期という。そして、その次の年のS&P500の平均リターンはマイナス11.3%。株式市場には非常に不都合なシグナルといえる。ブログでは「中期的に過去3回は株式市場の調整のシグナルとなっていた。短期的には即時性の高いものではなかった。しかし過去20年間の動きを踏まえると、最終的には正確な警告だった」と、今後の弱気相場の到来の可能性を指摘している。(片平正ニ)
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