原油高と金利高が嫌いなトランプ米大統領は、また八つ当たり気味の「ツイート介入」を発したくてうずうずしているに違いない。
原油先物相場が上昇基調を強めている。24日の米国市場でWTI原油11月限は続伸し、前週末比1.30ドル高の1バレル72.08ドルで取引を終えた。中心限月が72ドルを上回って終えるのは7月10日以来およそ2カ月半ぶり。米国による経済制裁でイラン産原油の供給が減少するとの懸念が根強いなか、長期に渡り需給の引き締まった状況が続くとの見方が強まった。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国が23日、アルジェリアで会合を開いた。イラン産原油の供給が減る公算が大きいため事前には増産を協議するとの観測も出ていたが、同会合では増産見送りを決めた。
米国産シェールオイルの増産基調が鈍化するとの見方も需給の引き締まりを意識させている。石油サービス会社ベーカー・ヒューズが21日公表した米国の石油掘削装置(リグ)の稼働数は前週から1基減の866基となった。前の週には7基増えたが、5月末以降は860基前後で足踏みが続く。
原油相場はベネズエラやリビアなど他の産油国からの供給不安も意識される。先高期待から19年にかけての原油相場の予想を引き上げる動きも見られる。
原油高を受けて、関連株には買いが入った。24日の米国株式市場で、石油メジャーのエクソン・モービルは前週末比1.43ドル(1.7%)高の86.60ドルで取引を終えた。一時は1.915ドル(2.2%)高の87.085ドルまで上げた。シェブロンの終値も1.49ドル(1.2%)高の122.62ドルだった。
メジャー以外の資源開発では、EOGリソーシーズが一時、前週末比4.73ドル(4.0%)高の124.19ドルまで上げた。バレロ・エナジーやマラソン・ペトロリアムの上げも目立った。(中山桂一、今田素直)
■WTI原油先物とリグ稼働数の推移(QUICK FactSet Workstationより)
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