QUICKは26日、金融庁と日本経済新聞社共催のフィンテック・サミット「フィンサム2018&レグサム」のパネル討論を都内で開いた。「AIやBOTを利用した顧客向けサービスの現状と将来」をテーマに、対面営業から非対面、とりわけネット対応に大きくシフトする国内証券会社の今後の戦略について、各社の担当者が意見を交わした(モデレーターは佐藤吉哉QUICK常務取締役)。金融機関関係者ら200名が参加した。
■SMBC日興証券の丸山真志ダイレクトチャネル事業部長
「LINE」上でAIチャットボットのサービスを展開している。顧客が店頭から非対面の営業にダイナミックに変化していることが背景だ。大事なのは、こういう情報が欲しいという顧客に、きちんとその情報を提供する。それが顧客を守る、フィデュシャリー・デューティーにつながる。今の時代、顧客は利便性が高いサービスと低コストのサービスを使い分ける。60~70代も当たり前にスマホを使うし、LINEもそうだ。証券会社としてチャネルを広げるのは必須。今後はリアルタイムのチャートや、口座残高の確認もできるよう機能を高めていきたい。
■大和証券の山本真ダイレクト企画部長
QUICKが開発したチャットボット「株talk」を運用している。コンタクトセンターに問い合わせが多い株式のサービスでニーズがあると考えて導入し、副次的には、センターへの問い合わせをボットのほうに誘導することでセンターの業務軽減にもつながった。株の質問はかなり複雑で、何を聞かれるかわからない部分も多く、なかなか対応が難しい。しかし、ゆくゆくは人間を補完できるようにAIを進化させ、究極的には(個人投資家一人ひとりの)秘書のようなサービスを提供したい。
■みずほ証券の楠誠晃ダイレクトチャネル事業部長
AI活用については、まずは社内でノウハウを蓄積している段階だ。社内業務の効率化に重点を置き、問い合わせチャネルの拡充に努めているが、今後は他社のように「顧客の満足度」という観点で取り組みを見つめ直さなければいけない。コストカットもいいサービスを提供していくために必要。人にしかできないことと機械ができることの均衡点を探っていきたい。
■三菱UFJモルガン・スタンレー証券の江面幸浩オムニチャネル企画部長
11月に新サービスを開始する。「対面より手軽に、ネットより手厚く」というのがコンセプトで、AIなどを活用したバーチャル担当者が顧客対応にあたる。株価や業績の変化などの質問に素早く答え、計算上は現在受け付けている質問の8割をやこれでカバーできる。これまでの証券営業は電話と対面に偏っていたが、ありとあらゆる手段でコミュニケーションをとっていく。次の戦略はデジタルマーケティングで、ビッグデータを活用して顧客のニーズを探るのがこれからの営業と位置付けている。