新興株が年明けから堅調な展開だ。9日の東証マザーズ指数は4日続伸し、前日比1.01%高い896.44で終えた。昨年末終値から10%超上昇し、他の主要株価指数を大きく上回るパフォーマンスとなっている。昨年末の相場下落に伴う個人投資家の追い証に絡んだ売りが一巡したために買いが入りやすいとの見方があるが、足元では個人投資家の売買シェアが低下しつつある。
「社内で確認しましたが、新興株では個人の取り組みが増えているとはいえない状況です」――ネット証券のある担当者は年明けからのマザーズ株の上昇についてこう答えた。
東京証券取引所が9日に発表した投資部門別売買状況によると、18年のマザーズ市場の金額ベースの個人投資家の売買シェアは58.6%と17年の65.4%から低下した。一方で海外投資家の売買シェア17年の29.8%から36.4%まで拡大。18年12月には週間の投資部門別売買状況では個人投資家のシェアが50%を割り込む一方、海外勢のシェアが40%を超える週もあった。
16年7月から取引が始まったマザーズ指数先物は海外勢の売買高シェアが個人投資家に肉薄する。18年の個人投資家の取引シェアは45%と17年の53%から下がる一方で、海外勢は前年から小幅ながらシェアを伸ばして42%となった。取引開始の16年には海外勢のシェアは33%程度だった点を考慮すると投資家層が広がったともいえる。
ある株式ディーラーは「流動性リスクをとってでもマザーズ株を取引しようとする海外勢が多いのではないか」と指摘する。海外勢の参戦によって一段と振れ幅が大きくなっているとの声もあり、今後も海外マネーの流入動向が注目される。(中山桂一)
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