この5年で一気に創生期から普及期に移ったフィンテック。QUICKはベンチャーキャピタル「SV FinTechファンド」にLP(有限責任を持つリミテッドパートナー)として参加している。ファンドが出資する関連ベンチャー企業を紹介する。
中小1万1000社、8士業1400人が参加
第1弾は中小・ベンチャー企業のビジネス支援を手掛けるココペリ(千代田区)。中小企業と金融機関・専門家とのコミュニケーションを、テクノロジーで支援することで、企業価値を高めるというビジョンのもと経営している。近藤繁社長はみずほ銀行を退職しココペリを起業。中小企業のコンサルティングを続ける中でニーズを発見し、2015年に中小企業向け士業相談プラットフォーム「SHARES」の提供を開始、今では1万社以上の中小企業が導入するサービスに成長した。近藤社長に、現状と今後の展開を聞いた。

ココペリの近藤社長
――主力の事業は。
「2つのWEBプラットフォーム型事業を展開している。ひとつは、中小・ベンチャー企業と、税理士や弁護士といった士業を結びつける『SHARES』事業。もうひとつが、地域金融機関が連携して中小企業の経営を支援するための『Big Advance』事業だ」
「SHARESは、企業が相談事項を投稿すれば、その投稿内容を見た士業側から見積もりが届き、条件が合えば成約するというサービスだ。使いたいときに使いたいだけ使えるクラウドバックオフィスと言えるかもしれない。相見積もりの時間が200時間から1時間に削減する効果があると試算している。現在、中小企業が1万1000社、(独占業務を持つ)8士業1400名が参加。士業は基本的に個人で登録してもらい、広告宣伝費として月額数万円をいただいている。リリース当初は地道に、士業の先生一人ひとりに、サービスの意義を説明してまわった」
――金融機関向け事業の状況は。
「Big Advanceは、金融機関と取引先企業をつなぐコミュニケーションプラットフォームだ。主要な機能の一つとしてビジネスマッチング支援がある。企業が投稿した販路拡大や事業承継といった案件を、複数の金融機関が地域をまたぎ、横断的に検索・マッチングできるというのものだ。企業と企業をつなぐ際に、取引先金融機関が間を取り持つ点が特徴。プラットフォームに参加する企業のアカウントは、1つの金融機関に紐づく形式にしている」
「横浜信用金庫を皮切りに複数の金融機関が参加しており、今後も増える予定だ。Big Advanceを使うことで、もともと1割だったビジネスマッチングの面談実施率が8割に上昇した。若手行員が、Big Advanceで見つけた案件を提案することで、取引先企業の満足度が上がり、自身のモチベーションも高まっているというケースもあると聞いており、地域金融機関の経営課題の解決手段としても期待されている」
「いずれのプラットフォームも、より活用してもらえるようなUI(ユーザーインターフェース)設計を心掛け、改善を継続している」
――今年の展望は。
「今年は地域金融機関との提携を進めていく方針だ。また、二つのプラットフォームの連携も考えている。加えて、AI(人工知能)を使った融資モデルを提供する『FAI』事業も積極的に展開していく。中小企業向けの小口融資は、金融機関にとって、業務効率やモデルの精度などの課題がある。FAIは決算書だけでなく、口座情報などからも精度の高い融資判定ができ、クラウドでの提供も可能だ」
――地域金融機関へのメッセージは。
「2015年以降、企業はグローバル志向一辺倒ではなく戦略的に市場を決める時代になり、プラットフォームの独占ではなくプラットフォーム間の協働という時代に移行したと考えている。金融はスマホ上の『支店』が中心となり、ユーザーが銀行機能のうち使いたいものを都度選ぶパーソナライゼーションも進むだろう」
「この流れの中で、地域を支えなければならない地域金融機関は、事業展開に不自由さが残る。我々は金融機関に、地域を超えて活躍するためのプラットフォームを提供する。金融機関が培ってきたFace to Faceという価値と、テクノロジーの組み合わせが、顧客価値の真の最大化につながるはずだ」
【聞き手はQUICKイノベーション本部 吉田晃宗】