「統計数字とは違う景気の実感をビンビン感じた」。2月に亡くなった元経済企画庁長官の堺屋太一氏は市井の声に耳を傾け、景気の先行きを判断した。今回は、タクシードライバーや飲食店の従業員らに景況感の報告を求める景気ウオッチャー調査。堺屋氏の発案で始まったこの調査は、株価の先行指標として有効だ。
景気ウオッチャー調査は消費者の生活に近い場所で働く約2000人に、3カ月前と比べた現時点の景気(現状判断)と、2~3カ月後の景気見通し(先行き判断)を「良い」から「悪い」までの5段階で回答してもらい、指数化する。
内閣府のホームページ(https://www.cao.go.jp/index.html)→統計情報・調査結果→下にスクロールして「その他」の景気ウオッチャー調査→「調査の結果」の公表資料(統計表一覧)で見られる。
調査期間は毎月25日から月末。結果は翌月上旬に発表されることから速報性の点で優れる。「街角景気」とも呼ばれる。
※QUICK端末より
現状判断指数は株価に半年から1年前後、先行する傾向がある。直近では現状指数が2017年12月の52.9でピークを打ち、その10カ月後の18年10月に日経平均株価は2万4270円と約27年ぶりの高値を付けた。リーマン・ショック後は、現状指数のボトムが08年12月の18.9に対し、日経平均の底は09年3月の7054円だった。
第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは「株価のトレンドを判断するには有効な指標」と太鼓判を押す。
8日発表された2月調査の現状指数は前月比1.9ポイント高い47.5と3カ月ぶりに上昇したが、17年12月をピークとした下落トレンドからは抜け出せていない。日経平均は昨年末から約5%上昇したが、市井の声は先行きに必ずしも楽観的ではないようだ。=随時掲載
【日経QUICKニュース(NQN )鈴木孝太朗】
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