19日に発表された3月の独ZEW景気期待指数は▲3.6と市場予想(▲11.0)を上回る大幅な改善となった(グラフ黒)。依然として長期平均の「22.2」を下回った水準ではあるものの、中期的な独経済への発展期待は1~2カ月前ほどには悲観的ではなくなっている。ZEW所長は「主要な経済的リスクが以前よりも劇的ではないことを示している」と述べた。また、米中貿易交渉の進展などが金融市場関係者を楽観的にさせた可能性にも言及した。
(QUICK FactSet Workstationより)
一方、景気の現況を示す指数は11.1と市場予想(13.0)を下回り、悪化傾向に歯止めがかからない(グラフ黄緑)。金融市場では独経済への底入れ期待が世界経済に対する過度の悲観的な見方を後退させる一方、今後発表されるハードデータ次第では失望感を招きかねない不安定な状況が続くこととなりそうだ。目下の世界経済における主な不透明要因である中国景気減速懸念、欧州景気減速懸念、英EU離脱問題の行方は米連邦準備理事会(FRB)の金融政策にも影響を及ぼすこととなろう。(丹下智博)
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