投資家の間で「優待の悲劇」と呼ばれる現象が今年も起きた。権利取り最終日の26日に株主優待を狙って現物株を買った投資家のうち、株価変動リスクを回避するため同時に株式を借りて信用取引で売った投資家は少なくない。この信用売りに想定外の費用である「逆日歩」が発生し、そのコストが優待の価値を上回ってしまうのが「優待の悲劇」。福留ハム(2291)や食材宅配のショクブン(9969)などで発生した。
■「優待の悲劇」が起きた主な銘柄
26日に現物株を買うと同時に同じ株数を信用売りして「両建て」にすれば、株価変動リスクを避けて株主優待の権利だけを得ることができる。だが、信用売りのために借りる株が不足していると借り入れコストである「逆日歩」が発生する。実際に発生するかどうかは取引の翌営業日にならなければ分からない。
福留ハムは200株保有する株主に優待として5000円分の自社製品詰め合わせを贈る。ところが27日になって、福留ハム株を26日に200株借りた場合は2万2080円の「逆日歩」が発生することが明らかになった。1000株を保有する株主に6000円相当のパックご飯を贈るショクブンには、同じ株数の信用売りをした場合の「逆日歩」が2万4000円となった。いずれも優待価値を大幅に上回るコストが発生した。
【日経QUICKニュース(NQN ) 矢内純一】
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