SNS(交流サイト)の世界でも、米中摩擦が過熱している。何かと物議を醸すトランプ大統領に負けじと、中国共産党の機関紙「人民日報」系列の国際紙「環球時報」の胡錫進(Hu Xijin)編集長が過激な発言で注目を集める。
実際の米中交渉において相対的に中国側は発言が抑制的な印象だが、それに代わって胡編集長が中国の主張を「代弁」している、との読み方もできるためだ。
21日はツイッターで「米国は現在、中国のドローンメーカーのDJIをいじめようとしている。米国のこれらの不合理な行動からすると、ワシントンは中国の脅威を作り、貿易協議を急いでいるのだろうか。中国の結論は、それを長引かせることです。米国人はノイローゼになりそうです」とつぶやいた。米国土安全保障省(DHS)が中国製ドローン(小型無人機)の使用について、情報漏洩のおそれがあるとして警告するメモをまとめたことが分かったと各メディアが伝えたことを踏まえたもの。DJIのドローンは世界的に使われているだけに、中国としては攻撃材料とされても自身を持って対抗できる分野なのだろう。
同じ21日のツイッターで「華為技術(ファーウェイ・テクノロジー)の創業者の任正非最高経営責任者(CEO)はインタビューで米企業を褒め、iPhoneに感謝して彼の広い心を示した。彼は米国の政治家がファーウェイを過小評価したと自信を持ったと言いました。トランプ大統領は強力な力を持っていますが、私は彼が任CEOを打ち負かすことはできないと思う」とつぶやいた。任CEOが21日の中国国営の中国中央電視台(CCTV)のインタビューでトランプ政権の制裁措置について楽観的な見解を示したものを踏まえたもの。任氏は最新版のアンドロイドOSの使用を禁じる方針と報じられた米検索大手グーグルの親会社であるアルファベットに関して「責任感が強い、いい会社」などと批判する事はなかった。中国側としては、トランプ政権に対する挑戦状のようなものとして、任CEOの発言はよくぞ言ったという感じだったのだろうか。
さらに16日のツイッターでは、「ほとんどの中国人は、米国が中国よりもパワフルで、貿易戦争でワシントンがイニシアティブを持っていることに同意します。しかし我々は、米国が中国を潰す方法はないと信じています。私たちは米国にレッスンを与えるため、痛みを我慢して喜んでいます」とつぶやいた。
トランプ大統領との「直接対決」が実現するかは不明だが、米中摩擦のヒートアップ度合いを占ううえで、両者のツイート合戦は要注目だ。(片平正二)
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