国の経済規模をはかるモノサシとして使われる国内総生産(GDP)。世界全体に占める日本のGDPのシェアと東証株価指数(TOPIX)はおおむね連動して動いてきた。だが、ここ最近、TOPIXが上昇する一方、シェアは伸び悩んでおり、日本株の先行きに暗い影を落としている。
■「バフェット指標」なら日本株は割高
国際通貨基金(IMF)の統計によれば、2018年時点の世界全体に占める日本のシェアはおよそ5.9%。1994年に17.7%まで拡大して以降は減少傾向が続いている。日本のGDP自体は15年以降は増加基調だが、中国など新興国が日本を上回るペースで成長しているため、シェアは高まっていない。
24年までの見通しでも、IMFは日本のGDPは増える予測をたてているが、世界全体に占めるシェアは6%前後で横ばいとなる。
GDPを用いた株式の投資指標で有名なのが、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が参考にするとされる「バフェット指標」だ。株式市場の時価総額を、その国の名目GDPで割って求める。直近1~3月の日本の名目GDP(年率換算)は554兆円で、東証1部時価総額(598兆円、3月末時点)を割ると、割高とされる1を上回っている。
GDPが大きく上昇しない限り「『バフェット指標』でみた日本株の割高さが引き続き意識される」(第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミスト)。加えて、他国が日本を上回るペースで成長するとなれば、国際分散投資の観点で、日本株の相対的な魅力は薄れていくことが避けられない。
【日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一】
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