1日に発表された6月の米ISM製造業景況感指数(グラフ緑)は、51.7と5月から0.4ポイント低下した。同指数は3カ月連続で低下し、2016年10月以来の低水準となった。QUICK FactSet Workstationの市場予想である51.0は上回った。
■日米中の景況感指数はそろって下向き
個別項目では「新規受注」が2.7ポイント低下して50.0となったほか、「サプライヤー出荷」が1.3ポイント減の50.7、「設備投資」が1.8ポイント減の49.1だった。米中貿易摩擦の激化を受け、調査回答者からも貿易の混乱や世界経済の成長鈍化を懸念する回答がみられた。一方、「生産」が2.8ポイント増の54.1、雇用が0.8ポイント増の54.5と貿易摩擦による悪化を相殺した。
製造業の景況感はグローバルに悪化している。6月の日銀短観(グラフ青)も大企業製造業DIが、前回3月調査から悪化し、16年9月以来の低さとなった。6月30日に発表された6月の中国製造業購買担当者景気指数(グラフ赤)は5月から横ばいだったが、拡大・縮小の節目となる50を2カ月連続で下回った。
ゴールドマン・サックスは1日付のリポートで、ISM製造業景況感指数は米中首脳会談で貿易協議の再開が決まる前の景況感であることから、6月の結果は「今後の上昇に弾みをつける」との見方を示した。4~6月期(2Q)の米GDPについても、前期比年率換算で1.5%増との従来予想を維持している。7月中に発表される指標の多くは、米中首脳会談前の調査。今後も経済指標の下振れは続くかもしれないが7月調査分は回復する可能性もある。(池谷信久、大野弘貴)
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