強めの米雇用統計で50bpの利下げ観測が後退し、米株はやや調整ムードが出ている。日本株もトレンドに乏しく、パウエルFRB議長の議会証言待ちの展開が続きそうだ。
その議会証言をあす10日に控え、市場では様々な見立てが飛び交っている。「利下げを行わないならパウエル議長は議会証言で市場の期待を修正か=JPモルガン」、「パウエル議長は市場の利下げ観測を押し返すだろう=バンカメ・メリル」といった見方が出ている。7月のFOMCで保険的な利下げを行う場合は何らかのシグナルを発するとみられている。FF金利先物市場が25bp以上の利下げを100%織り込む中、利下げを見送って株安が進むリスクがあるのなら、市場の期待に応じて利下げに踏み切るだろうとの見方もある。
■米金利は利下げを織り込む動きが続いている
ゴールドマン・サックスは8日付の「なぜ利下げか?」と題するリポートで「労働市場の減速に対する懸念は、これまでのところ根拠がないことが証明されている。労働参加率の上昇で増加した失業率はすぐに再び下がり始めるだろう」と指摘した。そのうえで「7月と9月に25bpの利下げを行うのは当社の基本シナリオだ」としながら、「債券市場はさらに50bpの利下げを想定している」とも指摘。「現在のFOMCのアプローチに対する私たちの不確実性もやや増加している」という。2020年にかけてはインフレ率の回復が見込まれるが、金融市場で大胆に利下げが織り込まれる中、トランプ大統領という「不確実性」などもあって、金融政策の方向は見づらいとみていた。(片平正二)
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