いま保有している投資信託と組み合わせて別の投信を購入したいが、どんなファンドを選べばいいか分からない――。そんなときに参考になるのが「相関係数」だ。
主に国内の株式に投資するタイプの投信で「ひふみプラス」(9C311125)を選んだ。この「国内株式型」投信との組み合わせに適したファンドを探す。
まず検証するのは、値動きの異なる「野村インド債券ファンド(年2回決算型)」(0131316C)との相性だ。インドの債券に投資する「新興国債券型」は、国内株式型との相関係数(日次1年)は0.44と低い。
5対5の割合で投資した「合成」のリターン(分配金再投資ベース、週次1年・年率)は23.34%。「ひふみプラス」だけに投資した場合の37.96%と「野村インド債券(年2)」だけに投資した8.72%の中間だった。
価格変動を示すリスク(標準偏差、週次1年・年率)は「ひふみプラス」だけに投資した場合が11.09%で、「野村インド債券(年2)」は6.76%。2ファンドの平均を単純に計算すると8.92%程度になる。実際にこの組み合わせで同額ずつ投資した「合成」のリスクは7.57%で、平均値より1.35ポイント低くなる(図1参照)。この差がリスク低減の効果だ。
※QUICKの情報端末「Qr1」を使えば、簡単に比較できる。
次に比較的近い値動きをするバランス型の「JPMベスト・インカム(毎月決算型)」(17312149)との組み合わせを見てみる。「国内株式型」と「バランス型」の相関係数は0.78と高い。
「合成」のリターンは22.03%で、「ひふみプラス」と「JPMベスト・インカム(毎月)」の中間の値になった。「合成」のリスクは6.20%で、2ファンドの平均(7.08 %)を0.88ポイントほど下回る(図2参照)。
リスク低減効果は値動きの異なる「国内株式型」と「新興国債券型」の組み合わせの方が大きくなった。
このようにリターンはどちらの組み合わせでも2つのファンドを足して半分にした数値を維持する一方、リスクの低減幅は相関が低い組み合わせの方が大きくなった。複数のファンドに投資して分散効果を上げるには、相関が低く値動きの傾向が異なるファンドの組み合わせが有効と言える。
(QUICK資産運用研究所 望月瑞希)