今年1月から積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)がスタートし、対象となる投資信託が選好されている。世界的に株式相場が崩れた2月に「逆張り」の個人マネーが加わったこともあり、金融庁の「お墨付き」ファンドに資金が流れ込んでいる。
つみたてNISAの対象商品として届け出られ、金融庁が認めた投信は2月末時点で141本。金融庁が指定した指数に連動するインデックス型が126本、それ以外のアクティブ型が15本ある。
日本経済新聞によると、つみたてNISAの1月末時点の申込件数は主要証券・銀行11社で37.8万件。1つの口座で積み立てできる上限は月3万3000円程度なので、つみたてNISA経由の資金流入額は単純計算で最大でもひと月あたり125億円にとどまる。1月と2月を合わせても250億円ほどだ。
今年に入って設定から解約を差し引いた資金流入額(推計値)は、つみたてNISA対象の141ファンド合計で2291億円。専用ファンドではないため、つみたてNISA向け以外にも資金の出入りがある。特に2月はこれまで堅調だった世界の株式相場が急変したため、流れに逆らう「逆張り」や押し目拾いの資金流入が膨らんだ。
■インデックス型は「日経平均連動型」が上位に
つみたてNISA対象のインデックス型投信を年初からの資金流入額が多い順にランキングしてみると、上位3本は日経平均株価に連動するタイプが占めた。上位20本のうち18本は株式で運用するタイプだった。
首位は「野村インデックスファンド・日経225」(0131510B)で、今年の資金流入額は118億円。月平均では59億円と、昨年1年間(2.5億円の流出超)を大きく上回った。
上位20本はすべて今年の資金流入額の月平均が昨年より多かった。株価が調整した2月だけでなく、堅調を維持していた1月も資金流入額が昨年の月平均を上回るファンドが続出した。
■アクティブ型は「ひふみプラス」が首位
つみたてNISA向けに金融庁が指定したインデックス型以外の投信(アクティブ型)で、今年に入って資金流入額が最も多かったのはレオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」(9C311125)。1月と2月の合計で1000億円を超す資金が流入した。2位もレオスが直販する「ひふみ投信」(9C31108A)だった。いずれも主に国内の株式で運用している。
3位にはセゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド 」(96311073)が入った。国内外の株式や債券で運用するバランス型のファンドだ。
アクティブ型15本のうち、今年の資金流入額の月平均が昨年を上回ったのは13本にのぼった。
■バランス型、残高の積み増しに時間
特定の資産の相場動向に左右されにくいバランス型に絞ってみると、資金流入ペースに大きな変化は見られない。つみたてNISA対象のインデックス型126本のうち、複数の資産に投資するバランス型は53本。このうち今年の資金流入額の上位20本に入ったのはわずか2本だった。
つみたてNISA対象のアクティブ型も含め、今年に入ってからバランス型の大半は資金流入額の月平均が昨年を上回ったが、増加幅はそれほど大きくない。つみたてNISAは定時定額で少額をコツコツ積み立てていく仕組みとあって、その影響が対象ファンドへの資金フローや残高の積み増しに表れてくるにはまだ時間がかかりそうだ。
(QUICK資産運用研究所 望月瑞希、西田玲子)