インターネット証券大手の楽天証券が今年7月に独立系金融アドバイザー(IFA)を養成するビジネススクールを開講してから3カ月が経過する。金融の基礎知識を学ぶ「基礎コース」が終了し、8月半ばからは実務力を身に付ける「実践コース」に入った。講座には幅広い職種から参加しており、楽天証券はIFA育成を「対面型」のIFA事業の拡大につなげる考えだ。
■参加者の45%が現役IFA
楽天証券は金融系の教育事業などを手掛けるきんざい(東京・新宿)と連携し、「楽天ファイナンシャルアドバイザー・ビジネススクール」を開校した。基礎コースは52人が参加し、修了試験と面接試験に合格した33人が実践コースに進んだ。
基礎コース52人の内訳をみると、IFA登録者が最多の45%だが、保険関連、証券、コンサルタント、税理士、メーカー勤務、システム系など多様な職種の人材が参加した。年代別では20代と30代で7割近くを占めた。実践コースの参加者も職種や年代の比率は、基礎コースと大きく変わらない。
■IFA大手の幹部が登壇
楽天証券は7月から毎週土曜日に講義を開いており、9月22日にその様子をメディアに公開した。この日の講義は前半が「金融リテールに変革を起こすマーケティング」の第2回目で、IFA大手GAIAでマーケティングを担当している取締役兼CMOの麻生陽平氏が講師を務めた。
参加者は4人ごとに分かれてテーブルに着き、グループ討議を繰り返し、ホワイトボードに附箋を貼りながら親和図法という「見える化」の手法を使って、気づきや着想をまとめ上げる。最後は、資産形成の相談をしたいと考えている人へ訴求力のあるWebサイトにするにはどんな点を重視すべきか、グループごとに発表した。
後半はGAIA社長の中桐啓貴氏とIFA大手のファイナンシャルスタンダード社長の福田猛氏が登壇。①なぜIFAとして独立を決意したのか②IFAとして独立して一番嬉しかったこと、一番大変だったことは③IFAに最も必要なスキル・知識は何か④IFAを目指す人に是非読んで欲しいオススメの一冊は--という質問に答えた。
②の大変だったこととして「事業立ち上げ後黒字化するまでの運転資金の工面」、③のスキルでは「IFAは話すことよりもむしろ顧客の声を聞き、顧客の本当のニーズを拾い上げるのが肝心」といった話について参加者は熱心に耳を傾けた。④の候補には「道は開ける」「投資の大原則」「敗者のゲーム」「ウォール街のランダム・ウォーカー」「ゴールベース資産管理入門」などが挙がった。
■「網羅的で練り上げられたカリキュラム」の声
参加者の多くは学び直しや実務知識の再点検に役立つとして、講義内容に前向きな手応えを感じていた。大手証券に勤務し、金融の実務経験・知識を生かしてIFAとしての独立・脱サラを考えている50代の男性は「カリキュラムは網羅的でうまく練り上げられている」と話していた。「グループ討議で知り合った人とのつながりができたのもよかった」という声も聞かれた。
IFA養成ビジネススクールの2期目は来年春ごろに開講する見込みだ。それまでに今回の受講者のうち何人が新たにIFA登録するかが注目されるほか、2期目はIFA以外の参加者がどのくらい増えるのかが課題になりそうだ。
(QUICK資産運用研究所 高瀬浩)