毎年恒例の「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」(FOY2018)が開かれた13日の夜、表彰式から場所を移した懇親会は、100人あまりのブロガーや個人投資家に加え、上位に入賞した運用会社の関係者も参加した。今回で12回目を迎えたイベントも懇親会を開くようになってからは3回目。入場チケットの購入者は昨年の約70人を上回るが、早々と完売したようだ。
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投信ブロガーが選ぶこの1本 2018年の1位は「eMAXIS Slim先進国株式」
進行役を務めた投信ブロガーの虫とり小僧さんが「皆さんに楽しんでいただけたようでよかった」と話したように約2時間にわたる懇親会は終始大賑わい。日頃はネット上で情報交換するだけの関係だった人とリアルに交流する「一大オフ会」と化した。懇親会参加者の声をまとめた。
■順位の大きな変動に「シビアさを垣間見」の声
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(9I311179)が9位に後退し、たわらノーロード 先進国株式(4731B15C)が上位20位の圏外となるなど、前回と大きく順位が変動する結果となり驚いた。コストを引き下げるなど、継続的に手を打っていかないと直ちに人気を失ってしまうシビアさを垣間見た」(けいのすけさん)
「このイベントには毎年参加している。インデックス(指数連動型)ファンドの動向をアップデートできるとともに他の個人投資家と交流する機会があり、運用会社も巻き込んで個人投資家の生の声が伝わるイベントとして有意義だ。多忙のため投票は見送ったが、インデックスファンドの上位入賞が予想されたため、投票するならあえてアクティブ(積極運用型)ファンドを選んだと思う」(ASKさん)
「三菱UFJ国際投信やニッセイアセットマネジメント、セゾン投信のファンドなど、安定して上位に入っているファンドへの熱いコメントが印象的。月報や運用報告、ブロガーミーティングなどを通じて顧客へのメッセージをしっかりと発信している運用会社にはファンが付き、お互いにファンドを育てていく良い環境があるように思う」(じゅん@さん)
「コスト意識が高い中、来年も三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズとニッセイアセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>シリーズのバトルか、はたまた新たな登場があるのかどうか。懇親会では楽天投信投資顧問の東眞之社長と『こんなことも対応いただけますか』といった話ができた。こういった場で運用会社のトップに直接伝えることができるのもありがたい」(リバモ(livamoz)さん)
「懇親会は同じ志をもったブロガーの方々と普通に投資の話をできるまたとない機会。投資の話をしてみたいができないという人は一度参加してみるといい経験になると思う。日頃は話をする機会のない運用会社の方とも話すことができるうえ、要望があれば直接伝えられるし、気になっている質問を聞いてみる絶好の場」(シオイさん)
「今回は2位受賞ファンドの発表と副賞授与のお手伝いができた。投信ブロガーが求めるファンドだけではなく、投資にあまり関心がない人にも利用しやすいファンドが上位にランクインした。『自分たちだけではなく一般生活者にも投資が普及して欲しい。そのためにどのようなファンドがいいのか』というブロガーの新たな視点も組み込まれてきていると感じた」(くは72さん)
■定年退職世代の投資環境は「発展途上」
「とても多くの学びがあった素晴らしいイベントだった一方で、定年退職者の立場ではいろいろな課題を再認識した。私のような定年退職世代、積み立て投資に頼らず退職金などを一括投資して徐々に取り崩すステージに入る投資家にとって今の投資環境はまだまだ発展途上。高齢者が資産を有効に使い、幸せな老後を送れるような環境整備が必要と感じた」(安井宏@定年退職FPさん)
「運用会社の関係者やネット上で著名な人に会えて直接お話しできる貴重な機会。投信ブロガーなどは普段住んでいる地域もバラバラで情報交換する場も限られているので、懇親会に参加できたのは本当にうれしかった。自分の投資手法自体が地味なので、投信仲間がいることを感じられたのが一番の収穫」(Sayasayanさん)
「今回のランキングは直近の株価下落と円高によるパフォーマンス悪化の影響を受けたように思う。ひふみ投信(9C31108A)や新興国株式型ファンドも2018年のパフォーマンス悪化が順位を落とした原因ではないか。アクティブファンドであれ、新興国株式型であれ、投資家の資産形成を目的とするファンドに投票する趣旨からは、今回の結果は個人的には残念」(タカちゃんさん)
「初回を除きこれまで毎年投票している。今回は農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド (25311177)に5点すべてを投票した。ネット上では10年くらいやりとりがあったものの、これまで会えていなかったブロガーと対面できたり、かなり久しぶりの再会もあるなど、懇親会は極めて貴重な機会となった。ファンドの投票に関係して、これだけ大勢の人が集まるのは正直ビックリした」(エルさん)
「表彰式は今回が初参加。ランキング発表は興奮するものがあり、ドキドキの連続だった。ツイッターでの実況にも参加して2倍楽しめた。自分の投票コメントが読み上げられたので更に興奮。運用会社にもコメントが届き、ユーザー参加型で本当に楽しめる仕組みになっていると感じた。懇親会で運用会社の関係者から話を直接聞けるのがこれほどためになるというのにも驚いた」(やすぎさん)
「ツイッター内でのフォロワーとのやりとりも増え、今年は万全を期して、昨年参加できなかった懇親会にも参加した。『久しぶりー!』や『〇〇さんなんですね。イメージ通り』といった感じで同窓会、オフ会のように楽しく過ごせた。著名なブロガーの方ともフランクに話せたり、憧れのカン・チュンドさんとも握手してもらったり、幸せな1日だった」(こんこんさん)
「波乱の相場となり結果がどうなる事かとドキドキしていたが、今回も<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(2931113C)が堂々のベスト3入り、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(0331418A)が初入賞という快挙。とても見応えのある表彰式だった」(アキウマレさん)
■20代も積極的に参加
「懇親会は個性豊かな先輩投資家と直接顔を合わせることのできる貴重な機会。まだ国内では投資家の存在がメジャーでない以上、つながる場はとても大切。全般的に30~50代の方の来場者が多かった印象だが、若手にこそ投資の面白さと可能性を知ってほしいので、20代の私は同年代の方に投資への関心を持ってもらえるよう発信していきたい」(なまずんさん)
「今回は波乱と呼ぶにふさわしい結果だった。投票者コメントにもあったように、これからは受益者の真価が問われそうだ。<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドに対する自分の投票コメントが会場で読み上げられたのは驚いたが、その後、会う人、会う人に熱いコメントと言われ、話のタネになった」(安房さん)
「表彰式では、上位入賞の運用会社から熱いコメントのシャワーを浴びた。普段は聞くことができない『運用会社側の想い』に触れる事ができ、投資家の資産形成を全力で担うという並々ならぬ熱意に心打たれた。特に、三菱UFJ国際投信は若手社員を登壇者に抜擢し、資産形成が必要な若年層へメッセージを届けるにはこれ以上ない適任と感じた」(パーサモウニアスさん)
「投票で順位に差はつくものの、いまや入賞しているファンドはどれも優れていると言っていいほど精査され、このイベントの理念通りになっているように思う。長い間、投資について話す相手がいなく、とても楽しみにしていた懇親会では大勢の方に会えたのに、挨拶と雑談で終わってしまった自分にガッカリ。投資に関する質問を事前に考えてこなかった」(ソロトナさん)
「懇親会では投信で資産運用している多くの人、普段はネット越しにしか交流がない方に出会うことができた。私は社会人2年目で、周囲で『投資』というと仮想通貨や外為証拠金取引(FX)、個別株の話題ばかりが出てきて投信派は少ないので、『自分の他にも投信を購入している人がこんなにいるんだ』と再認識するいい機会になった」(ミドノンさん)
■eMAXIS Slimは継続保有の安心感
「つみたてNISAと一般NISAでは、一度購入すると非課税枠が消費され、売却しても戻らない仕組みのため、より低コストな新規ファンドが出てきても『乗り換え』が困難。その点、eMAXIS Slimシリーズは保有し続けても継続的にコスト引き下げをしてくれるという安心感があり、多くの投信ブロガーから評価されたのだと思う」(水瀬ケンイチさん)
「思ったよりもeMAXIS Slimシリーズが躍進していたのは、ブロガーミーティングを含む三菱UFJ国際投信の宣伝活動の勝利だったのかな、という印象。懇親会は、四国の松山や九州、北海道、奈良からの参加者や、全国津々浦々から集まったブロガーの方々、特に伝説のように語られていたm@(エムアット)さんとも直接お話しすることができ、非常に楽しい時を過ごした」(にこいちさん)
「投信ブロガーは低コストのインデックスファンド好みということがランキングに明確にでたのではないか。ベスト10にeMAXIS Slimシリーズが5本もランクインしたのは運用会社と個人投資家とのコミュニケーションが実を結んだものと思う。三菱UFJ国際投信は今後もブロガーミーティングを続けていくとのことなので、eMAXIS Slimシリーズに期待している」(もことんさん)
「運用会社はいかに個人投資家との信頼関係を築いていけるのか。個人投資家は長期間投資でき、信頼に足るファンドをいかに選ぶことができるのか。そんなことを感じた。『低コストへの取り組み、情報開示、顧客サポート、直接対話の機会などを通じて、顧客に信頼されるファンドづくりを目指していく』と語った上位2社の受賞スピーチが印象的だった」(ザリガニさん)
「個人投資家である投信ブロガーがファンドを選ぶことに大きな意味があると感じた。熱いコメントが多く、見応えがあった。懇親会は多くの人と交流できる貴重な場となり、ありがたかった」(青井ノボルさん)
「このイベントの存在意義が年々大きくなってきているように感じ、1回目から投票に参加してきたので感無量。今年のランキングが物語るのは、受益者に対する『信頼』こそが大切で、投信ブロガーはそこのところに敏感ということだ。アクティブファンドが振るわなかったのはちょっぴり残念だった」(NightWalkerさん)
■リアルな交流会は時代を超えて継続
懇親会を主催した実行委員と委員長の2人は、今後も懇親会を継続していく意気込みを語った。
「今年は若い人の出席が多く、長期の資産形成という考え方が若年層に浸透しつつあると実感した。ただ、投資家と投資家、投資家と運用会社が交流する機会は少ないのが現状だ。今後も相場動向に関係なく、この懇親会の開催を通じてそうした場を提供していきたいと強く思った」(実行委員のすぱいくさん)
「表彰式と懇親会の参加者は20~30代とみられる人が目立ち、投資による資産形成の裾野が着実に広がっていることを強く感じ取れた。今後もコミュニケーションのきっかけとなるこのような場の提供を継続していきたい」(実行委員長の個人凍死家テリーさん)
ネットでのつながりからリアルな交流へ--。「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」の懇親会の役割は平成の時代を超えて続いていく。
<FOY2018 公式サイト>
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2018
<参考>当日の様子は投信ブロガーや関係者がツイッター(ハッシュタグ:#foy2018)で発信
(QUICK資産運用研究所 高瀬浩)