アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示す「QUICKコンセンサスDI」(12月末時点)は、製造業と非製造業が共に改善し、全産業ベース(金融含む)のDIが前月比6ポイント上昇のプラス27となりました。個別銘柄では東芝(6502)や、北陸電力(9505)の純利益の上方修正率が大きくなるとの見方です。
※QUICKコンセンサスDIとは・・・アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。
鉄鋼や医薬品のDIが大幅改善
製造業DIは前月比6ポイント上昇のプラス35でした。業種別では鉄鋼や医薬品、機械が大きく改善したほか、輸送用機器や電機の強気見通しも増えました。
非製造業DIは前月比5ポイント改善のプラス18となり、卸売や小売、銀行といった業種の改善が顕著でした。
DIがプラス(上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回る)だった業種は算出対象の16業種のうち、13業種。マイナス(下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回る)は1業種、変わらずは2業種でした。
東芝(6502)が上方修正率トップ
個別銘柄を対象に3カ月前の予想純利益と比較して上方修正率、下方修正率がそれぞれ大きな銘柄をピックアップしたところ、最も上方修正率が大きかった銘柄は東芝(6502)でした。東芝は米ウエスタンデジタル(WD)との和解成立や、増資による資本増強などを受けて主要銀行からの融資期限が3月まで先延ばしされました。返済が滞るとの懸念が一時後退したうえ、運転資金が確保できたことも業績改善見通しの背景にあるようです。
半面、最も下方修正率が大きかったのは、サイバーダイン(7779)でした。ただ、同社については2017年12月17日に装着型ロボット「HAL」が米食品医薬品局(FDA)の市販承認を取得するなど、米国での収益期待が高まるなど足元で好材料も出ています。