ウォルト・ディズニーが米東部時間8日午後4時半(日本時間9日午前6時半)、2018年1~3月期の決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、4月末時点の市場の予想1株利益(EPS・特殊項目を除く)は、前年同期比13%増の1.70ドルだ。有料テレビ事業を含む主力部門が足を引っ張り、営業利益は前年同期比で減益見通しだが、法人税の減少により純利益は増えそうだ。
市場予想
18年1~3月期
・売上高 141億1300万ドル(5.8%増)
・EPS 1.70ドル(13.3%増、Non-GAAP)
※4月末時点、24社の予想()内は前年同期比
映画ブラックパンサーが市場予想を上回る興行収入
市場予想によると、1~3月期の営業利益は前年同期比7%減の37億ドルの見通し。主力のメディアネットワーク部門の有料テレビや広告などが低調だったようだ。半面、テーマパークを運営するパーク&リゾート部門は好調だったほか、2月に米国で公開された「ブラックパンサー」が市場予想を上回る興行収入となり、業績に貢献したもよう。
市場予想によると、1~3月期の純利益は前年同期比8%増の25億ドルが見込まれる。トランプ政権による法人減税効果などが寄与し、収益を押し上げるようだ。
足元では4月下旬に公開された人気映画シリーズ「アベンジャーズ」の最新作「インフィニティ・ウォー」が世界的に大ヒットしているほか、5月下旬にはスタウォーズシリーズのスピンオフ作品の公開が控える。4月から始まった米プロバスケットボールNBAのプレーオフは例年になく混戦となっているため、有料テレビのスポーツ専門チャンネル「ESPN」の視聴率が上昇し4~6月期の業績にプラス寄与する可能性もある。
スカイ争奪戦で欧州事業の戦略修正を迫られる可能性も
ディズニーは17年末、21世紀フォックスの映画やテレビなどコンテンツ事業の大半を524億ドル(負債含む約661億ドル)で買収すると発表した。ただ、フォックスが筆頭株主になっている英衛星放送大手スカイを巡り、ディズニーにとっては想定外の事態が生じているようだ。スカイ株を39%保有するフォックスはスカイの完全子会社化を目指していたが、英規制当局が待ったをかけた。これを受けて米メディア大手コムキャストが4月下旬、スカイの買収を表明。フォックスの提示を上回る1株あたり12.5ポンドでの買い取りを提示した。スカイ争奪戦となり、フォックスによる完全子会社化が失敗すればディズニーが描く欧州での事業拡大のシナリオは修正を迫られるかもしれない。
主力事業の不振に加えてスカイを巡る攻防の行方を見極めたいとの投資家の姿勢を映してか、ディズニーの株価は年初から軟調でダウ工業株30種平均を下回って推移している。動画配信サービスで先行するネットフリックスと比較しても見劣りする。ただモルガン・スタンレーは1日付のレポートでフォックスからの事業買収は結果的にプラスと見ており、ディズニーの目標株価を130ドルとした。(根岸てるみ)
年初からの株価推移
青:ディズニー、緑:ネットフリックス、赤:ダウ工業株30種平均
(注)QUICK FactSet Workstationより作成
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