QUICKが8日まとめた4月の株式月次調査によると、東京証券取引所が議論している市場区分の再編について、見直しの基準として「時価総額」「流動性」「銘柄数」に着目すべきとする声が目立った。東証1部への昇格基準が緩い、1部上場でも低収益で時価総額が小さい企業が多い、といった構造的な問題が指摘されている。見直しによって市場が活性化するかとの問いでは、「活性化する」「少し活性化する」(合計47%)と、「あまり変わらない」(46%)がほぼ同数だった。
市場の在り方の見直しが議論される背景には、最上位の市場である1部が圧倒的に銘柄数が多い、いったん1部に昇格してしまうと降格が少ない「1部上場ゴール」の問題などがある。見直しに際しての着目点を3つまで選んでもらったところ、「時価総額」を挙げた回答が73%、「浮動株式数など流動性の基準」が59%に上った。銘柄数を絞り込むことが大事との声も目立つ。
東証1部全銘柄で構成される東証株価指数(TOPIX)をベンチマークにしているパッシブ運用の投資家は多い。ただ、市場関係者は市場区分の見直しとベンチマークの問題を切り分けて考えているようだ。
TOPIXに代わる新しいベンチマークが必要かとの問いに対して、40%の回答者が「必要ない」と答え、「どちらともいえない」(36%)や「必要」(24%)を上回った。「ベンチマークの変更には大きな負担がかかる」(生保)など、既に普及しきったTOPIXの置き換えは難しいと考える投資家が多い。
調査は4月2~4日に実施し、証券会社および機関投資家の株式担当者139人が回答した。(QUICKナレッジ開発本部 伊藤央峻)