米半導体のザイリンクスは買われ過ぎ――。高速通信規格「5G」への本格移行を間近に控えて、5G対応のチップを製造する同社の株価は年初から急ピッチで上昇。17日には上場来高値(137.23ドル)をつけたが、市場では割高との見方だ。24日(日本時間25日)に発表される2019年1~3月期決算を受けて、アナリストの評価が変化するか注目される。
▼市場予想
19年1~3月期
・売上高 8億2600万ドル(23%増)
・純利益 2億4100万ドル(46%増)
・EPS 0.942ドル (47%増)
・S&P500種構成銘柄の純利益の伸び率 3%減
※QUICK FactSet Workstationの18日時点、27社のデータを使用。()内は前年同期比。EPSは非GAAPベース。S&P500種構成銘柄の純利益の伸び率は17日時点
QUICK FactSet Workstationによる市場予想では、ザイリンクスの1~3月期は2桁の増収増益が見込まれている。5G移行に伴う通信部門の売上増が寄与するようだ。増収幅に対して増益幅が大きい理由は、同社はファブレスで設備投資が少なく収益率が高いため。例えば競合のクアルコムの売上高営業利益率は20%程度だが、ザイリンクスは30%台に達する。
足元のザイリンクスの株価は134ドルと、市場平均の目標株価である116ドル(19日時点)を16%上回る。野村インスティネットは3日付のリポートで「バリュエーション的には予想PER30倍程度が妥当で、現水準の株価には割高感がある」と指摘し、目標株価を115ドルとした。さらに慎重な見方のマッコーリー・リサーチは90ドルと想定する。
アナリストの多くは5Gに対する期待先行で買われているとの見方だが、ザックス・インベストメントは目標株価を142ドルと、さらなるアップサイドを予想する。5Gだけでなく人工知能(AI)向け製品に対する成長性も評価ポイントに挙げる。5G向け以外の事業も好調ならば株価の一段高の可能性もある。(根岸てるみ)
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