米中の貿易面での対立が再び激しくなってきた。争いの果てに勝者はいるのか。QUICKが3日にまとめた5月の債券月次調査で「米中貿易戦争の最終的な勝者」を聞いたところ、「なし」が5割、「米国」が4割超だった。覇権をめぐる争いの長期化が見込まれるなか、米中双方が損失を被るとみる意見が多い。米国の「勝利」を見込む回答も多かった一方、中国が優位に立つとの見方は少なかった。
※5月のQUICK月次調査<債券>の問8(6)より。有効回答は125人。
債券市場のコンセンサスは「対立の長期化」だ。米中の貿易戦争は、長期にわたった1980年代の日米対立などを念頭に、今回も「10年またはそれ以上の年月をかけて交渉していく」(証券会社)との見方が多い。対立が長引けば両国や世界の貿易への影響は大きく、勝者は「いない」(50%)とする回答が最も多かった。
次いで多かったのは「米国」の46%。中国経済は米国向け輸出に強く依存していることから、長期では米国が優位に交渉を進めやすいからだ。一方で、「中国」を挙げた回答は2%と少なかった。対米依存度の面で中国が不利な交渉を強いられるなかで「対米政策に国内で不満が出るのではないか」(証券会社)といった中国の内政を懸念する意見が目立った。
5月の債券月次調査は5月28~30日に実施され、証券会社および機関投資家の債券担当者134人が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻)