債券市場関係者は追加経済対策となる2020年度第3次補正予算案の採択を前に、国債需給の動向を注視している。QUICKが11月30日に発表したQUICK月次調査<債券>では、12月末の新発10年国債利回り予想が0.019%と、前月の調査(11月末予想、0.020%)とほぼ変わらなかった。
債券価格の変動要因で最も注目されているのが債券需給だ。第3次補正予算案での一般会計や特別会計の歳出など「真水」と呼ばれる国費の規模を聞いたところ、予想の中央値は20兆円だった。ただ、国債の増発は想定通りとの見方も多く「市中発行増による需給面での上昇圧力は限定的」(証券会社)との声があがった。
世界で新型コロナウイルス感染の「第3波」が広がり、欧州を中心に再びロックダウン(都市封鎖)が増えている。7~9月に回復した経済は10~12月に再び落ち込むのかが焦点になっている。そこで日米欧の10~12月期の実質国内総生産(GDP、前期比年率換算)の予想を聞いたところ、ユーロ圏でのマイナス予想が目立った。日米は1桁のプラス予想が最多となった。
新型コロナのワクチン実用化が期待されるなか、国内で一般の人が接種できる時期を聞いた質問では回答にばらつきが出た。21年7~9月が回答者の36%を占め、21年4~6月が27%、21年10~12月が23%で続いた。「新型コロナ罹患(りかん)への恐怖が払拭されるまで半年から1年程度。それまで経済はストップ・アンド・ゴーが続くだろう」(銀行)など、ワクチン接種が始まっても普及には時間がかかるとの意見が目立った。
調査は11月24~26日に実施。金融機関などの債券市場関係者129人が回答した。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。