米長期金利の上昇傾向が続いている。2月25日の米債券市場では米10年国債利回りが一時1.61%まで上昇し、約1年ぶりの高水準となった。QUICKが3月1日に発表した2月のQUICK月次調査<債券>によると、年内の最高利回りを1.6~1.7%とみる市場関係者が多かった。
調査で2021年の米10年国債利回りの最高利回りを聞いたところ、平均値が1.7%、中央値が1.6%で、2.2%とみる回答者もいた。利回りが上昇する時期は12月が40%で最も多く、15%で3月が続いた。日本の10年国債利回りは平均値と中央値ともに0.2%だった。一方で日経平均株価の高値予想を聞いたところ、平均値は3万2778円で、高値を付ける時期は12月との見方が多かった。
投資妙味のある投資先を聞いた質問では米国株式が42%、国内株式が21%だった。「日本株はすでに年内の高値を付け終えた可能性」や「日本株の割安感は修正されてきており、今後の伸びは期待しづらく、先に修正した米国債、REITを選好」といった声もあった。
日銀は3月の金融政策決定会合でこれまでの金融政策の点検結果を公表する予定だ。調査では83%が金融政策の方針に変更があると思うと答えた。長期金利の変動幅や国債の買い入れ額の見直しなどが想定されている。発表で変動しそうなのが長期国債で、利回りの上昇が見込まれる。ドル円は横ばい、日本株は内容によって動きがばらつきそうだ。
調査では「金利正常化の議論は時期尚早と考えており、微調整にとどまる」や「枠組みが大きく変わらない限り、点検内容での反応は限定的」など、すでに市場は織り込み済みとの意見が目立った。
3月末の新発10年国債利回り予想は0.11%と、前回調査(2月末予想、0.034%)から0.076ポイント上昇した。2018年12月末の予想以来、2年3カ月ぶりの0.1%台となった。米長期金利の上昇やワクチン接種開始による景気回復などが上昇要因に挙がっていた。
調査は2月22~25日に実施した。金融機関などの債券市場関係者125人が回答した。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。