幅広い市場関係者が米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和政策の転換が早まると予想している。QUICKが5月31日に発表した5月のQUICK月次調査<債券>で、FRBが量的緩和の段階的な縮小(テーパリング)を決める時期を聞いたところ、年内を予想する市場参加者が62%だった。
5月24日に発表された月次調査<外為>に続き、年内への前倒しを予想する市場参加者が多数という結果になった。ただ年内の決定を8割が予想した外為調査に比べると、2022年以降を予想する市場参加者も多い。ゼロ金利政策の解除に踏み切る時期については、22年末までの予想が30%、23年中が45%、24年以降が24%だった。
最も注目している債券価格の変動要因として「海外金利」を選んだ市場参加者の割合が53%に上昇し、2012年8月以来の高水準となった。年内の米長期金利の上昇余地については「2.0%台」との回答が42%で最多だ。「日米欧で見ると、欧州の金利上昇がもっとも着実な歩みを見せている」(証券会社)として、今後欧州が金利上昇を主導する可能性を指摘する声もあった。
新発10年物国債利回りの先行き予想は3カ月連続で低下し、6月末時点の予想は単純平均で0.081%だった。注目する債券種別(複数回答可)では「普通社債」との回答が57%と最多を維持したが、69%だった4月調査からは注目度が低下した。一方、「国債」への注目度が55%と再び高まっている。
東京オリンピック・パラリンピックが実際に開催されるかを聞いたところ「開催(無観客を含む)」との予想が79%となった。半面、開催の是非についての質問では「開催すべき」と答えた市場参加者は27%にとどまった。
調査は5月25〜27日に実施。金融機関などの債券市場関係者126人が回答した。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。
アメリカ株