日本国債の長期金利見通しが低下している。QUICKが28日に発表した12月のQUICK月次調査<債券>では、2021年1月末の新発10年国債利回り予想が平均値で0.013%と、11月の調査(12月末予想、0.019%)より0.006ポイント下がった。新型コロナ感染の再拡大を受けて当面は金利が上昇しにくくなっていると予想している。
半年後(21年6月末)の利回り予想は前月と同じ0.035%となった。ワクチンの普及や日銀による金融政策の点検に期待が集まっている。ただ、「物価検証を受けた日銀の金融政策は調整的なものに留まる」(証券会社)との声があり、債券価格への影響は限定的とみる市場関係者もいた。
2020年は日米欧の中央銀行が相次いで金融緩和策を強化した。調査で2021年の金融政策の方向性を聞いたところ、現状維持との予想が大半を占めた。米連邦準備理事会(FRB)の動向は、緩和縮小や追加緩和を見込む人がそれぞれ15%とやや意見が分かれた。日米欧のなかでは、欧州中央銀行(ECB)がさらなる追加緩和を実施する可能性が高いとみられているようだ。
2021年、日銀はどのようなかじ取りをすべきか。現在導入している金融政策について尋ねたところ、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する長短金利操作などは横ばいを望む声が多かった。一方で、ETF(上場投資信託)やJ-REIT(上場不動産投信)の買い入れは縮小すべきと回答した人が約半数にのぼった。
調査は12月22~24日に実施。金融機関などの債券市場関係者128人が回答した。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。