QUICKコメントチーム=大野弘貴
アナリストによる主要企業の業績予想の改善が続いている。QUICKコンセンサスDI(8月末)は、金融を含む全産業ベースでマイナス28と、前月(マイナス33)から5ポイント改善した。内訳は「強気」が42銘柄(全体の12%)、「変化なし」が164銘柄、「弱気」が139銘柄(全体の40%)だった。小幅ながら改善は3ヵ月連続。
製造業DIは前月から3ポイント改善しマイナス48、非製造業DIは前月から3ポイント改善してマイナス4だった。製造業は2ヵ月連続、非製造業は3ヵ月連続の改善となり、なかでも非製造業は18年9月に米国が対中制裁関税「第3弾」を発動する前の水準まで持ち直した。
- (注)QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる
業種別でみると算出対象の16業種のうち、「情報・通信」がプラス15となり唯一プラスだった。マイナスは11業種で、変わらずが4業種だった。
3ヵ月前の予想純利益と比べて上方修正率が最も大きかった銘柄には、前月に続き中国電力(9504)や楽天(4755)が並ぶ中、オムロン(6645)が上位に顔を出した。オムロンについては、米中貿易戦争の激化を受けた機械需要の停滞が短期的な業績への逆風になるとの声も多い一方、製造業系の制御機器事業(IAB)の成長を見込み、来期以降の業績改善を予想する声も目立ち始めた。
下方修正率の1位は神戸製鋼所(5406)だった。8月2日に発表した19年4~6月期決算は、最終損益が11億円の赤字(前年同期は126億円の黒字)だった。4~6月期に最終赤字となったのは12年以来7年ぶり。また、20年3月期の連結純利益を従来見通しの250億円から、前期比72%減の100億円に下方修正した。アルミ・銅事業の収益が想定以上に悪化していたとの指摘があり、世界的な景気減速懸念から今後も厳しい経営環境が続くとの見方が多かった。
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