QUICKコメントチーム=丹下智博
米債券市場では、国債の銘柄を特定しないGCレポのレートが9月に急騰して以降、ニューヨーク連銀による積極的な市場介入が続いている。今月14日には年末のドル資金ひっ迫に対応するとして、28日物と42日物のタームレポを実施することをアナウンスした。42日物は9月以降に行っているオペのなかで最長のタームであり、「量」だけでなく「期間」の面でも潤沢な資金供給を行うと示したことになる。
ニューヨーク連銀による積極的な資金供給によりGCレポレートなどの短期金利は低位で安定し、年末にも9月にみられたようなドル資金のひっ迫は起こらないとの見方が広まっている。
このオペによってFRBの総資産(バランスシート)は急速に拡大している。FRBはテクニカルな資金供給に過ぎないと繰り返すが、ここへきてダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数は最高値を更新している。レポレートの急騰と抑え込み、バランスシート拡大、それに連なる米株価の騰勢を重ね合わせてみると、量的緩和(QE)が再開されたようにみえてしまう。
日銀が株価下落でもETF買い入れをしばらく見送り、ステルステーパリング(政策変更を伴わない隠れた緩和縮小)とささやかれる日本とは対照的な光景といえるかもしれない。
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