日経QUICKニュース(NQN)=大石祥代、北原佑樹、中山桂一
インターネット証券で手数料無料化の波が急速に広がっている。手数料無料化の効果や各社の収益に与える影響について業界担当アナリストに聞いた。(表は12月に入ってからの発表分で、12日12時現在)
●体力勝負、既存投資家は口座を選別へーーー 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の辻野菜摘シニアアナリスト
ネット証券各社が相次いで投資信託や信用取引の一部手数料の引き下げに動いたのは新しい投資家の獲得を狙っているからだ。これまで株式売買の経験がない若年層など新たな投資家を獲得するきっかけになるとみている。これまで打ち出された取り組みは各社の収益モデルのなかで占める割合が小さいものに限られ、業績に与える影響は小さいとみている。それぞれの証券会社が投資家獲得につながるか見極めているタイミングだろう。
ネット証券業界は体力のある企業が残るだろう。多くの個人投資家はすでに複数の証券会社に口座を持っている。手数料の引き下げ競争が一段と激化した場合、既存の投資家はどの口座に資金を移すか再考する局面が来るだろう。
●手数料は低いが若年層は投資資金なしーーー SMBC日興証券の原貴之アナリスト
投信の買い付け手数料などを無料にしても投資家層の拡大は見込みにくいだろう。すでにネット証券の各種手数料は平均すると0.03%と低い水準にとどまる。投資家がなかなか増えない本質は若年層を中心に投資に回す資金がないためだ。
ネット証券各社は手数料の無料化を全体の収益に与える影響が小さい施策から始めている。各社は業績への影響を見極めながら今後の取り組みを慎重に進めていくとみている。今後、現物株の取引手数料が無料になる場合は証券会社は東京証券取引所以外で注文を約定させるなどコストを抑える取り組みが必要だろう。
米国の証券会社で無料化が進む背景のひとつには投資家の預かり資産を運用して収益を得られる環境があるためだ。国債の利回りがきわめて低い日本では米国と同様の無料化は難しいとみている。
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