QUICKコメントチーム=大野弘貴
25日に開かれた金融庁の金融審議会で、東京証券取引所の市場区分と東証株価指数(TOPIX)の見直しを盛り込んだ報告書案が了承された。市場区分の再編で最も注目されていた「プライム」の取り扱いに関しては、流通時価総額100億円の基準を満たさない東証1部企業でも希望すれば当面は残留できるという逃げ道が用意され、事実上いまの東証1部を温存するほぼ「ゼロ回答」に。TOPIXについては、「プライム」基準に沿った形で浮動株の定義を見直すとともに、新たな指数も開発するよう促した。
大和証券の橋本純一シニアクオンツアナリストと蘆田峻一クオンツアナリストは同日付リポートで、「現行のTOPIX構成銘柄が抜本的に刷新されるリスクは小さくなった」と同時に「TOPIXは国を代表する指数というよりも、投資適格ユニバースを示す指数としての位置づけが強まった」との見方を示した。また「現在の算出で用いられる浮動株の定義を見直し、市場区分にも適用する流通時価総額を基準とする方針が示されていることから、ウエート算出に影響を与えそうだ」との見解を示した。
SMBC日興証券は同日付リポートで「現在のTOPIX構成銘柄のうち、24日時点で流通時価総額が100億円未満の銘柄が594銘柄あり、TOPIX構成銘柄でなく流通時価総額が100億円超の銘柄は175銘柄ある」ことから、「これらすべてが入れ替え対象となるなら、TOPIXは419銘柄の純減が見込まれる」との見方も示している。
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