QUICK Market Eyes=大野弘貴
新型コロナウイルスの拡大が中国を中心に続いている。ただ、営業を停止していた一部の中国企業が活動を再開。手探りの経済活動へと踏み出した。世界経済に占める中国経済の規模の大きさからグローバル市場では警戒心はぬぐえていない。それでも強気の声は根強い。
「まだ強気派主導」=モルガン・スタンレー
モルガン・スタンレーは9日付リポートで「足元では新型コロナウイルスが衝撃的な影響を市場に与え、相場は10月初旬以来の大幅下落となった。しかし、S&P500種株価指数やナスダック総合株価指数の下落は、景気への先行き懸念にもかかわらず、たった3.5%程度の下落ですんだ。押し目買いの思考が働くと同時に、流動性にけん引された強気相場に十分な力があることが示唆される」とした上で、「20年上期の強気目標であるS&P500が3500に到達する可能性が高まった」との見方を示した。
モルガンのエコノミクス・チームは「新型肺炎の感染拡大はグローバル景気回復に遅れを生じされるものの、回復軌道から脱線することはない」との見解を示している。その上で、「コロナウイルス懸念の逆風が弱まれば、世界景気の急速な改善を示唆する証拠もある」ことから、足元相場が「まだ強気派主導」であると指摘している。
「日本株に対するコンセンサスは悲観的過ぎる」=ゴールドマン
ゴールドマン・サックスは7日付リポートで「1月に開催した欧州・アジアのマクロ・カンファレンスで行った投資家調査によると、2020年の日本株に対して、ほとんどの回答者が“非常に低い期待”しか抱いていなかった」ことを明らかにした。ゴールドマンはこの結果について「市場のコンセンサスは悲観的過ぎる」との見方を示し、市場のポジティブ・サプライズとして以下の3点を挙げた。
1.新型コロナウイルスによる影響を予測することは難しいが、我々、グローバル・エコノミクス・チームは同ウイルスの新規感染率のピークが20年第2四半期以降にずれ込んだとしても、世界のGDPへの直接的、及び間接的な下押し圧力は0.3%ポイントにとどまると予想する。日本では観光への影響が懸念されているが、19年のGDPに占めるインバウンド消費の割合は0.8%とマクロ経済への影響は限定的であり、必要に応じて財政刺激策を強化することが可能である。
2.20年後半にコロナウイルスの影響が薄れ世界の成長が再び加速するとの仮定の下では、日本企業のリビジョン・インデックスがプラスに転じている足元の状況は、非常に良いポジションに位置している。
3.19年度には過去最高の自社株買いと配当を実施たことや、直近では敵対的買収を含む公開買い付けが急増していることからも明らかなように、コーポレート・ガバナンスの勢いは加速し続ている。
<関連記事>
■意外?市場関係者アンケートから浮かぶ株式相場の楽観論、コロナの影響は軽微
■コロナウイルスの影響はアナリスト予想にも影響? 業績相場入りの期待遠のく
■株高リスクオンでも債券市場は冷静 強い30年物入札、金利なお低位安定
■猛威のコロナ、「中国GDPは4%に鈍化も」、「中国中銀の資金供給は少ない」などの声