2月1日に開催されたSBIアートオークションのオークションから、フランス人ストリートアーティストのINVADER(インベーダー、1969~)を紹介する。インベーダーは70~80年代のレトロゲームを連想させるピクセルアートが特徴だ。作品の多くはビデオゲームのキャラクターで、都市に展示された作品を「侵略」と称して記録化している。東京の街中にも作品があるので、興味のある方はどこにあるのか探しに行ってはどうだろうか。
本セールでは、シルクスクリーンの版画作品6点、ミクロモザイクタイルのマルチプルオブジェ作品が1点、刺繍バッジの無限定マルチプル作品1点の合計8点が出品された。マルチプル作品2点は不落札であったが、シルクスクリーンの作品はすべて、落札予想価格の上限を大きく上回る高額での落札となった。
「Sea of Slime」(シルクスクリーン、49.4cm × 34.5cm)は落札予想価格30万~50万円に対し、落札価格が72万4500円と予想価格上限より45%高い水準。「Hollyweed (Brown pot)」(シルクスクリーン、54.8cm×41.5cm)は落札予想価格20万~30万円のところ、予想価格の上限の2.4倍となる72万4500円で落札された。
インベーダーのマルチプル作品(シルクスクリーンとタイルのマルチプル作品)を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、落札価格の平均が予想落札価格の上限を大幅に上回る傾向がはっきり出ている。今後、インベーダーの作品の価格がバンクシーやKAWSに肩を並べるぐらいに上昇していくのか注目されよう。
今回のセールでは、国内外作家193名(多作家出品は1名でカウント)、400作品以上がセールにかけられた。草間彌生、奈良美智などの国際的に活躍するアーティストの他、KYNE、井田幸昌、マサキといった最近のオークションで高値で落札されている若手作家の作品も出品された。
出来高は、落札総額5億7753万円(落札手数料含む)、落札率は89.2%と高い水準であった。
- SBIアートオークション Modern and Contemporary Art
- 出品数436点、うち落札389点(落札率89.2%)、落札総額は5億7753万円(落札手数料含む)
最高額で落札されたのは、草間彌生の代表モチーフが描かれたアクリル・キャンバスの作品「南瓜」で、落札予想価格4000万~7000万円のところ、7245万円で落札された。
次いではマサキのアクリル・キャンバス作品の「Nafea Faa Ipoipo(When Will You Marry?)Ⅱ」で落札予想価格500万~800万のところ、落札予想価格上限を大幅に上回る1667万5000円で落札された。マサキは鼻血を出したスマイルマークや目が特徴的なピカソやマティスなどの名画コピーで知られる。今後も価格が上昇していくか注目したいアーティストの一人だ。
(すべて落札手数料を含む価格、月1回配信します)
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※次回のSBIアートオークション開催は未定
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