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石見直樹氏「肥大化した金融市場、縮小は不可避」インタビューNext25Years

「これからの25年間の世界経済や市場はどうなるか」を聞く日経QUICKニュース社(NQN)設立25周年の特別インタビュー企画。今回登場するのは、ウィズ・パートナーズの石見直樹・最高投資責任者(CIO)だ。35年以上外国為替や債券などの金融市場にかかわり、運用担当者として2008年のリーマン・ショックなど数々の修羅場をくぐり抜けてきた石見氏は、現在のような巨大化した市場は持続可能ではなく、近い将来の収縮は避けられそうにないと警鐘を鳴らす。

矢内純一

【3つのポイント】

①運用会社主導の金融市場、危機の温床に

②変革期の米国、新たな「からくり」で生き延びる

③世界は多極化・地域化。ブロック経済に

相場急落、悪いのは売った人?それとも買った人?

――米株式相場が過去最高値圏で推移しています。株高は続くのでしょうか。

「2000年以降、米S&P500種株価指数を1つの銘柄と見立てた場合の益回り(1株利益を株価で除した値、株価収益率=PER=の逆数)が米長期金利を上回っており、運用者からみると株に資金を振り向けざるを得ない状況が続いている。表現は悪いがモルヒネのような金融緩和のおかげで、つぶれなさそうな企業の株を買って持ってさえいれば債券より収益が上がる状態だ」

「今の世の中には様々な先行き不透明感があり、わからないことが多い。わからないがゆえに運用者は近視眼的になっている。『いざとなれば株は売れるだろう』と考えている」

「だが、証券会社が主に金融商品を作り、自らもリスクをとって市場と顧客との間を取り持っていたころとは違う。現在、商品開発と販売に深く関わっているのは運用会社だ。証券会社は売り買い双方の価格を示す『マーケットメーク』をするが、運用会社には自己勘定がないのでできない。売り注文が膨らみ、買いが細って売り手が大きく損失を被ることがわかっていても何もできない。つまり相場がフリーフォール(歯止めのない下落)になる。ひとたび危機が起きればリーマン・ショックよりも市場への影響は大きくなるだろう」

――そのときは運用会社が悪者になるのですか。

「『誰がこんな商品を作って売ったのか』という話にはなるだろう。世間一般では『売るほうが悪い』のかもしれないが、プロの世界では投資するほうもリスクを適切に管理しているのが建前だ。売った人が悪いのか、買った人が悪いのか。水掛け論になる」

「日本でも資金の振り向け先がなくて仕方がなく株などのリスク資産を買っている投資家は多い。1990年代後半に起きたアジア通貨危機のときと少し似ている。危機の前、シンガポールにはオフショア市場と呼ばれる規制の緩い市場があった。危機でインドネシアルピアが急落すると市場自体があっという間になくなった。もうかると思って集まった投資家が一斉にいなくなり、市場が自然消滅したわけだ。当時、オフショア市場に最も多くいたのが日本勢だった」

脇役だったはずの金融が主役に

――資本移動の自由化が金融の肥大化を助長した面は大きいのでしょうか。

「歴史を振り返ってみよう。第2次世界大戦後、圧倒的な債権国だった米国で1971年に『ニクソン・ショック』が起きた。米国にお金がなくなってきたため、資本の流れを自由にしてドルを還流させようとした。米国で色々な金融商品が生み出され、金融が膨らんでいったのはこのあたりからだ。もともと『経済の潤滑油』などと呼ばれ脇役だったはずの金融が主役に躍り出て、ヒトやモノよりもカネを動かすことでもうけるようになった」

「世界の金融市場は拡大しすぎた。規模が(世界の)GDP(国内総生産)の2倍以上というのは明らかに行き過ぎだ。今後、縮小は避けられないだろう」

――グローバル金融センターである米国の今後をどうみますか。

「過激な言動で注目を集めるトランプ氏が大統領になるくらい、今の米国は変革期にある。その後待ち受けるのはどんな姿だろうか。のんびりした農業国か、かつて資本の自由化で生き延びたように、新たなからくりを編み出す国か。アグレッシブな国だから、おそらく後者になると思う」

「米国一極体制が崩れたら、代わる存在はすぐには見つからない。その先にあるのは多極化だ。多極化が進めばどうなるか。今まで主流だったものが否定されやすい。政治の点で標的となりそうなのは民主主義だろう。資本主義を維持しながら民主主義を保っていくのは難しい。多数への分配を考える民主主義と利益追求の資本主義体制とは基本的に相いれないためだ」

「経済でもグローバリゼーション(国際化)などの概念が否定されるだろう。対極の考えがローカライゼーション(地域化)だ。ヒトとモノの移動がある程度制限され、ブロック経済のような状況になりそうだ。欧州連合(EU)、北米といったいくつかの地域経済圏が並び立つ傾向が強まるとみている」


石見直樹(いわみ・なおき)氏   1981年に日本興業銀行(現みずほ銀行)入行後、国際資金部で米国債運用などを担当。アジア通貨危機の前後はインドネシアやシンガポールに駐在した。2002年以降は野村アセットマネジメント、JPモルガン・チェース銀行、ミレニアム・キャピタル・マネジメント・アジア・リミテッドを渡り歩き、2013年に独立系ヘッジファンドのウィズパートナーズに入る。今も個人的ネットワークで世界中の著名ヘッジファンドと連絡を取り合う

※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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著者名

日経QUICKニュース(NQN) 矢内 純一


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