トランプ米大統領の2期目で、米国人の友人の多くは資産が増えると喜んだ。野党・民主党が強いカリフォルニア州でも、「トランプ・トレード」への期待で盛り上がった。金融市場にポジティブな公約に注目した投資家はいま、株式市場に悪影響を与えるものばかりに不安を感じているとウォール・ストリート・ジャーナルは報じた。
関税政策は二転三転。カナダ・メキシコ関税について、トランプ氏が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)準拠品への発動を延期しても、投資家は売りで反応した。不透明感・不確実性を嫌った。S&P500種株価指数の7日の終値は5770。昨年11月5日の米大統領選挙当日の終値5782を下回った。選挙後の上昇を消した。米株式市場はトランプ氏の言動に疲れたようにみえる。
ウォール街で「トランプ・プット」が話題になった。トランプ氏が気にするS&P500の水準。オプション取引のプット(売る権利)になぞらえ、その水準はトランプ・プットと呼ばれる。別の言い方では、トランプ氏が株価支援に転じると予想される水準。ブルームバーグ通信は、トランプ・プットは希望的観測に過ぎない兆候があると伝えた。トランプ氏は6日、大統領執務室で記者団に対し「株価はみていない」と発言。ベッセント財務長官は、7日のCNBCのインタビューで、トランプ・プットは存在しないと述べた。ロイター通信は、投資家がトランプ・プットを疑問視、トランプ氏2期目は期待ほど市場にやさしくないとの懸念が強まったと報じた。
株価の大幅下落は押し目買いのチャンスになることが過去に何度もあった。今回はどうか。ウォール・ストリート・ジャーナルは3つのリスクがあると解説した。今後12カ月の予想株価収益率は21倍以上と割高、関税政策をめぐる不確実性が高く、減税延長による景気刺激効果にも疑問があるとしている。投資家がトランプ関税の現実に目覚めたと伝えた。
ギャラップの調査によると、米国の成人の1億6200万人、もしくは62%が株式を保有している。確定拠出年金(401k)口座などでのミューチュアル・ファンド(投資信託)保有が多いが、米国人は株式相場の動向に非常に敏感。株価が下がると消費を控える傾向がある。トランプ第2次政権は始まったばかり。投資家がトランプ氏の言動に揺れる日が続きそうだ。
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福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て、現在は米国ロサンゼルスを拠点に海外情報を発信する。