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総裁談話で株高&金利上昇 マイナス金利深掘りじゃ直せぬコロナ不安、効くのは……

日経QUICKニュース(NQN)=神能淳志、矢内純一

新型コロナ肺炎の感染拡大に打ちひしがれつつあった金融・資本市場に対し、米連邦準備理事会(FRB)が早期利下げの可能性を示唆したのに続き、日銀も総裁談話で市場を安定させる意思を鮮明にした。4年ぶりのオペ(公開市場操作)など異例の対応を見せたことで日経平均株価は持ち直した。だが、利下げなどの具体策を明示できない姿勢に対する債券市場の反応は冷ややか。FRBと違って簡単に利下げを決められない日銀の手詰まり感も改めて浮き彫りになった。

利下げ示唆したFRB、踏み込まなかったBOJ

2日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時マイナス0.180%と約4カ月ぶりの低水準を付けた。投資家が追加緩和の観測に傾いたのなら金利は低下傾向を保っておかしくはなかったのだが、その後はじりじりと低下幅を縮小。マイナス0.145%と上昇に転じた。

新型コロナウイルスの感染拡大は米国だけでなく、オーストラリアやカナダなど今月に金融政策の決定会合を控える国の緩和観測を誘っている。では日銀はどうか。黒田東彦総裁の談話は「最近の金融・資本市場では不安定な動きが続いている」「適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく」というもの。次の一手には特に踏み込まなかった。

日銀は総裁談話の後、2016年以来となる国債の現先買いオペを実施したが、このオペはあくまでも一時的な資金供給だ。国債買い入れオペと違って2週間後には応札した金融機関の手元に国債が再び戻り、供給を受けた分の資金は返さなければならない。オペの実務を手掛ける金融市場局も、「金融機関の資金繰りに悪影響が及ばないようまとまった期間、この資金を予備的に供給した」と淡々とコメント。日銀の矢継ぎ早の対応にもかかわらず、債券や短期の市場に早期の追加緩和観測が広がった形跡はない。

債券需給に影響を与えない「技術的な対応」

日銀が資金供給の主要手段とする国債買い入れオペは、残存期間「25年超」では買い入れの通知額の下限をゼロにしているうえ、これ以上買い入れ額を減らすとマネタリーベース(資金供給量)が減少に転じる可能性も高まる。国庫短期証券(TB)も足元では利回り低下が進んできた。市場では「債券需給に影響を与えない資金供給策として現先買いオペを選んだだけ」(セントラル短資総合企画部課長の佐藤健司氏)との受け止めが多い。

マイナス金利の深掘りは難しい。新型コロナの感染拡大に金融政策がどの程度効果を及ぼすかは不透明。加えて、銀行収益に一段と悪影響を与えかねないマイナス金利の深掘りは市場の動揺を加速しかねない。みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは「今回のオペは技術的な対応にとどまったうえ、円相場も(円高が大きく進んでいるとはいえず)1ドル=105円を下回っている現状では日銀が利下げに動くインセンティブはない」と話す。

米ゴールドマン・サックスは3月に米国と英国、カナダの中銀がいずれも0.50%利下げすると予測。オーストラリアやニュージーランド、ノルウェーも0.25%分の利下げで続くとみる。半面、欧州中央銀行(ECB)と日銀は政策金利を据え置くと想定している。政策余地のほとんどない日本とユーロ圏は協調利下げの蚊帳の外だ。

月次調査の予想では1~3月期に3%のマイナス成長

QUICKが2日に公表した2月の債券月次調査では、新型コロナ感染拡大で1~3月期の国内総生産(GDP)について単純平均で前期比年率2.96%減と予想。2020年10~12月期(6.3%減)から、2期連続のマイナスである景気後退(テクニカル・リセッション)が避けられそうにない。何らかの政策対応が必要という点では回答者の認識は一致している。

■景気下支えにどのような政策対応が有効ですか(2つまで回答)

財政出動 84%
ETF買い入れの増額 24%
国債買い入れの増額 9%
フォワードガイダンスの緩和方向での修正 8%
長期金利目標の変更(運用面も含む) 7%
マイナス金利の深掘り 6%
その他 8%

問題は各論だ。効果があるのは「財政出動」との回答が84%と最も多かった。日銀については「株価指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れの増額」との答えが24%だったが、「マイナス金利の深掘り」は6%、「国債買い入れ増額」も9%にとどまる。

調査と今日の市場の反応を見て、追加利下げを本格的に想定している投資家はほとんどないということだけははっきりした、と言えるだろう。

※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。


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