日経QUICKニュース(NQN)=内山佑輔
13日午前の東京株式市場で日経平均株価は一時1800円を超す下げ幅を記録し、1万8000円と1万7000円という心理的な節目を次々と下回った。市場では日銀の上場投資信託(ETF)買い入れ強化などへの思惑が働く一方、日銀によるETF買いのひずみが株価下落に拍車をかけているとの見方も出ている。
■日銀が保有するからこそ下落?
13日は全面安の中でも、日銀の保有比率の高い銘柄の下げが目立った。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストの試算によると、日銀は2月末時点でアドバンテスト(6857)を発行済み株数ベースで22.6%保有しているほか、ファーストリテイリング(9983)を19.0%、TDK(6762)を18.3%保有する。10%以上保有する銘柄は50近いとみられる。
日銀はいったん保有すれば容易に売りに動けない投資家で、ETF買い入れは株式の流動性低下につながる。一般的には「株式の流動性が低下すると相対的にボラティリティ(変動率)が高くなりがちで、下げ相場では下落率が大きくなる」(三井住友DSアセットマネジメントの石山仁チーフストラテジスト)といえる。
■流動性のワナ
日銀は18~19日に開く金融政策決定会合で、景気の下振れリスクに対応するためETFの機動的な購入姿勢を打ち出してくるとの見方が強い。半面、ETF買いを強化すれば日銀の保有比率の高い銘柄の流動性がさらに低くなり、「一段と相場のボラティリティが高くなる可能性も考えられる」(三井住友DSアセットの石山氏)など、副作用は無視できない。
それだけではない。ニッセイ基礎研究所の井出氏の試算では、日経平均が1万6000円まで低下すれば、日銀が保有する上場投資信託(ETF)の含み損は5兆2300億円規模まで膨らむ。相場が回復に向かえば問題はないが、ETF買いの拡大は将来の含み損増加のリスクと隣り合わせだ。
最近の株価急落で急速に関心が集まってきた日銀の上場投資信託(ETF)買いにも負の側面がある。マイナス金利政策の限界がかねて指摘されるなか、日銀の金融政策の手綱さばきは一段と難しさを増している。
■日銀の保有比率が高い銘柄
前日比株価下落率
銘柄名(コード) 日銀保有割合 (3月13日前引け時点)
アドテスト(6857) 22.6% 8.8%
ファストリ(9983) 19.0% 6.3%
TDK(6762) 18.3% 8.8%
太陽誘電(6976) 17.9% 10.2%
東邦鉛(5707) 17.2% 7.5%
コムシスHD(1721) 16.8% 9.2%
日産化(4021) 16.7% 9.4%
トレンド(4704) 16.5% 9.0%
ファミマ(8028) 16.4% 10.0%
東エレク(8035) 16.2% 9.4%
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日経平均株価 8.0%
東証株価指数(TOPIX) 7.2%
※保有割合は2月末時点、発行済み株数ベース。ニッセイ基礎研究所の井出氏試算。
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