QUICK Money World=羽生田文登
新型コロナウイルスの感染拡大で大荒れとなった株式相場。個人投資家も含み損を抱えて身をすくめていると思われていたが、個人の待機資金であるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)の純資産の推移をQUICKが調べたところ、相場急落時にMRF残高が減少する相関関係が明らかになった。乱高下する株式相場の中で、個人は買いのタイミングを見極めようとしていたようだ。
QUICKが国内の主要な12本のMRFについて純資産総額の変化を日次で集計した。
3月13日の金曜日、日経平均株価は前日比1128円(6%)安と今年最大の下げ幅となった。新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正法が成立した日で、これで緊急事態宣言の発令が可能になった。同日の米国株は大幅高となり、投資家の過度な警戒感が和らぐとの見方が広がった。
■相場急落、動く個人
週明けの16日、個人投資家が動いた。集計によるとMRFの残高は前週末比で2%減となる2405億円減少していた。相場の底入れが近いとみた個人がMRFから資金を引き出して株式市場に振り向けたとみられる。
この日だけではない。日経平均構成銘柄のPBR(株価純資産倍率)とMRFの推移をみると、PBRが解散価値とされる1倍を割り込んだ3月6日以降、MRF残高は減少傾向が鮮明になった。個人がじわりと株式市場に資金を投じ始めた。

※MRFインデックス(億円) と 日経平均PBR
3月16日に日経平均のPBRは0.82倍まで下がる。リーマン危機後の最低値だった2009年3月9日の0.81倍と同水準となり、当面の底とみた個人は買いを加速した。そして、PBRの上昇とともにMRFは再び増加傾向となった。
■入口はネット証券
株価の急落は新たな投資家も呼び込んでいる。ネット証券最大手のSBI証券は2月26日、口座数が500万を突破したと発表した。松井証券は3月の口座開設数が前月比19%増となった。店舗を構える対面型証券が営業しにくくなる中、証券口座を持っていなかった個人の新規資金がネット証券経由で市場に流入している。
大都市圏で緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルスの感染拡大は収束の兆しが見えない。企業業績にも黄信号が灯り、株式市場の先行きには悲観的な見方が多い。しかし、MRFの残高をみる限り、相場の流れと反対に動く「逆張りの個人」はなお健在だ。
日経平均の年初来安値は3月19日の1万6552円。足元の日経平均は2万円の大台を視野にとらえるまでに回復している。3月19日が今年の安値になるとすれば、相場の底で買い向かった個人の投資余力は高まっているはずだ。
<関連記事>
■ビッグデータが裏付ける新型コロナウイルスの消費影響 缶詰や介護・衛生用品の販売急増
■異例づくしの3月REIT売買、個人の買越額・銀行の売越額は「過去最大」 売り圧力への警戒は続く
■【株主優待】東宝と鳥貴族が優待券の有効期限を延長、スリーエフは優待制度を廃止