新型コロナウイルスの感染拡大の影響が見極めきれない中、株式市場ではネガティブ・インパクトよりポジティブ・インパクトを受ける銘柄へ関心が移りつつある。QUICK Market Eyesが毎週末、市場関係者にヒアリングしている「注目銘柄」では、様々な銘柄が候補として挙がった。影響が広範に及ぶこともあり、特定の銘柄に絞り切れていない。海外では治療薬関連に資金が集まる傾向が強まっている。
■市場関係の注目銘柄
市場関係の注目銘柄として25銘柄挙げられた。傾向的には、新型コロナウイルス対策の銘柄が多かった。具体的には、アンジェスとワクチン開発で協業する新日科学(2395)などの医薬品・バイオ関連、免疫力向上期待のホクト(1379)、消毒液代替需要で宝HD(2531)、テレワーク関連のブイキューブ(3681)、オンライン教育のすららNT(3998)、業績好調の食品スーパーであるベルク(9974)、巣ごもり需要の拡大を背景にGMOPG(3769)などのEC関連、任天堂(7974)などのゲーム株と、多岐にわたった。 その他では、東エレク(8035)などの半導体関連、直近売り込まれたコマツ(6301)、三井物(8031)などの資源関連、シマノ(7309)などの欧州関連、安値圏で放置されているメガバンクなどに注目する声も聞かれた。
■メソブラストが急騰―新型コロナの重症患者への治験で驚異的な回復
24日の米国市場で医薬品メーカーのメソブラストが急反発し、139.53%高の15.45ドルで終えた。一時は20.57ドルまで上昇して上場来高値を更新し、株価が前日比で3.1倍に急騰した。
同社の開発した臍帯由来間葉系細胞製品候補(remestemcel-L)を新型コロナウイルス(COVID-19)の人工呼吸器患者に静脈内注射で治療したところ、投与5日後に75%の患者が呼吸器の必要がなくなったとの臨床結果が出たと発表したことが好感された。重症患者を対象とする治験で10人のうち7人が退院したとのこと。米投資情報サイト・シーキングαによれば、NY市の重症患者で人工呼吸器からの離脱ができて生存できたのは12%だったといい、驚異的な回復率に治療法として期待感が高まるものだった。
■ギリアド・サイエンシズ―新型コロナウイルス治療薬は・・・
バイオ製薬のギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス治療薬について、米国の臨床試験の結果が予定よりも早く出そうだとロイター通信が24日伝え、2.4%高となった。有力な治療薬として期待されているが、前日は中国の臨床試験が「失敗だった」と報じられて相場が伸び悩む要因になっていた。
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