QUICK Money World=小松めぐみ
新型コロナウイルスの感染拡大で、ポイント運用が思わぬ活況を呈している。ポイントの運用サービスを提供する金融ベンチャー、ストックポイント(東京・千代田)によると、3月に流入したポイント数は昨年12月の2倍になった。価格が急落した原油先物を組み入れるETF(上場投資信託)を筆頭に、値動きの大きい投資先が人気を集めている。
ストックポイントでは、クレディセゾンの「永久不滅ポイント」や共通ポイント「Ponta(ポンタ)」などを使い、個別株やETFへの投資を疑似体験できる。増えたポイントは買い物などに利用でき、ポイントが貯まれば実際の株に交換可能だ。
4月時点の利用者は12万人程度だ。今年に入って株式や商品市場の値動きが大きくなると運用に使うポイントを増額する人や、新たにポイント運用を始める人が増えた。
ストックポイントが4月上旬に実施したユーザーアンケートでは、今後もポイントを追加したいと答えた人が87%だった。コロナショックでポイントが減ったケースもあるが、「ポイントの運用だから、失敗しても気にならない」や「あまったポイントを有効活用できる」といった声があった。アンケートに答えたユーザーのおよそ半数は株式や投信などの投資経験がない人だ。
投資先に選ぶ銘柄にはコロナ相場の影響が顕著だ。ポンタポイントの運用におけるポイント流入比率をみると、4月は「原油インデックス上場」への投資が全体の38%にのぼった。これは「NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信」(1699)に値動きが連動する。3月は日経平均株価と逆の方向に2倍の値動きをする「日経ダブルインバース」が29%、先行きの不透明感が根強かった1、2月は「有事の金買い」を体現するかのように「純金上場投信」への流入が目立った。
NTTドコモのポイント運用サービス「dポイント投資」でも利用者が増えている。「新興国」や「コミュニケーション」と言ったテーマで投資先を選ぶサービスでは、「金(ゴールド)」が人気だ。4月に入ってからは「ヘルスケア」の増加率が高い。
身銭を切らない気楽さから、ポイント運用はもともと値動きの大きい投資先が選好される傾向がある。コロナウイルスにより動揺した金融市場だが、初心者が投資を疑似体験する格好のタイミングにもなったようだ。