QUICK資産運用研究所=西本ゆき
UBSアセット・マネジメントが運用する投資信託「UBS原油先物ファンド」(50311092)に資金が集まっている。20日の純資産総額(残高)は初めて200億円台に乗せ、この2カ月で10倍以上になった(3月19日時点は17億円程度)。原油価格の下落傾向が強まった3月下旬から資金流入が増え始め、4月20日にニューヨーク原油先物市場の期近物が史上初のマイナスに転落した後も相場反発を狙った資金が多く流れ込んでいる。
同ファンドは国内公募の追加型株式投資信託(ETF除く)で唯一、原油のみに投資している。原油先物の3カ月~3年物に分散投資し、期近物やロールオーバー(限月交代)時の価格差の影響を軽減するしくみ。SMBC日興証券のほか、大手証券やネット証券などで販売している。
4月22日には基準価額が2009年2月の設定後で最低の4121円まで下がり、昨年末比で57.2%下落した。5月20日には5374円まで回復し、底値から30.4%上昇している。「原油マイナス」という異例事態の後に買った逆張り狙いの投資家は、利益を得ている計算になる。
ニューヨーク原油先物が史上初のマイナス価格を付けてから1カ月。相場は戻ってきたものの、先行きは楽観視できない。新型コロナウイルス対策で停滞した経済活動の再開が進む米国で需要回復や在庫調整の動きもあるが、感染の「第2波」への警戒感は強い。再び原油価格が下振れするリスクには注意が必要だ。
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