国内の投資信託市場で、指数に連動した運用成果を目指すインデックス型(指数連動型)ファンドの一部が勢力を伸ばしている。6月初旬までの1週間に、純資産総額(残高)が1000億円を超すファンドが新たに3本も登場した。資産形成にコツコツ取り組む個人投資家が増え、コストの安いファンドの規模拡大につながっている。
■1000億円超は13本、1年前より増加
国内公募の追加型株式投信(ETF、DC・ラップ専用を除く)のうち、6月2日時点で残高1000億円を超えているインデックス型ファンドは13本。1年前(19年5月末時点)の11本から2本増加した。残高の大きい順にランキングしたところ、1位は「ダイワJ−REITオープン(毎月分配型)」(04311045)の2911億円。2位と3位には日経平均株価に連動するファンドが続いた。
■低コストの「先進国株式型」に資金流入続く
5月下旬以降に初めて残高1000億円台になったのは、三菱UFJ国際投信が運用するeMAXIS Slimシリーズの「米国株式(S&P500)」(03311187)と「先進国株式インデックス」(03319172)に加え、楽天投信投資顧問の「楽天・全米株式インデックス・ファンド<愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式)>」(9I312179)の3本だった。
3本とも投資対象は先進国株式。2017年以降に低コストファンドシリーズとして運用を始め、インデックス型投信の信託報酬引き下げ競争のもと、業界最低水準の運用コストを誇っている。つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)の対象商品で、月次ベースで直近1年にわたり資金流入が続いているのも共通点だ。
■残高増で投資家に還元する仕組みも
3ファンドの投資対象を細かくみると、それぞれに特徴がある。eMAXIS Slimの「先進国株式インデックス」は日本を除く先進国の株式、「米国株式(S&P500)」はS&P500種株価指数に採用されている米国株式の代表的な500銘柄。一方、「楽天・バンガード・ファンド(全米株式)」のカバー範囲は米国の大型株から小型株まで約3500銘柄と幅広い。
また、eMAXIS Slimシリーズは残高が増えると信託報酬を段階的に引き下げる仕組みをもつ。今回節目を超えた同シリーズの2本は、1000億円以上の部分により低い信託報酬率が適用される。残高が増えて運用効率が上がった分を投資家に還元する仕組みは、コストに敏感な長期目線の投資家を引き付ける要因の一つになっている。(QUICK資産運用研究所 西本ゆき、西田玲子)