6月12日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日比167円43銭(0.75%)安の2万2305円48銭で終えた。一時は2万2000円を割り込み、相場の下落を見越したポジションを保有していた個人投資家は早くも「利益確定」に動いている。大手ネット証券によると、12日午前に個人投資家は相場が下がると利益を得られる弱気型ETF(上場投資信託)を売り越していた。現物株でも個人の押し目買いが増えて、相場が下げ渋った一因になったようだ。
■弱気型ETF「利益確定の売り」
日経平均とは反対の方向に2倍動く「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(日経Dインバ、1357)」の出来高は13時43分時点で1億7327万と東証トップ。売買代金は1446億円で2位となっている。
同ETFにはこれまで逆張り志向の個人の資金が大量に流入していた。東証の公表データによると、発行済み口数は12日発表時点で3億9430万と過去最高の水準まで増加していた。だが同日の相場急落を受け、弱気型ETFには「個人投資家が利益確定目的の売りを出している」(ネット証券の投資情報担当者)という。
■強気型ETF「押し目買い」
一方、日経平均株価の日々の騰落率の2倍になるように運用する強気型ETFの「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信日経レバ(1570)」には個人が押し目買いを入れているという。売買代金は3170億円に膨らみ、東証でトップとなっている。弱気型ETFへの売りは、ETFが保有する先物の売りポジションの解消につながる。一方、強気型ETFへの買いは、先物の買いポジションの増加につながる。つまり個人の逆張りにより、先物の売りポジションが解消され、買いポジションが積みあがる構図だ。市場でもETFの保有資産を通じた先物買いが相場を押し上げるとの見方が出ている。一時は下げ幅が600円を超えた日経平均が下げ渋った背景には、こうした需給要因があるようだ。〔日経QUICKニュース(NQN)長田善行〕