26日の日経平均株価は反発した。前の日から1.13%高い2万2512円で引けた。2万2000円台の値固めが続くが市場には「月末に大きめのリバランス売りが出るとの指摘があり、気にしている市場関係者が多いようです」(トレーダー)との声が聞かれるなど警戒感がにじむ。米経済専門チャンネルのCNBCは6月23日に「株式市場を売りの波が襲う」と題する記事で、「今四半期(4~6月期)にS&P500指数が21%以上も上昇したことから、年金基金が350億~760億ドルの範囲で株式から債券に大規模なリバランスをするのではないかと推測されている」と報道。市場からも「海外年金などはグローバルに運用しているので、日本株にも影響が及ぶのではないか?」(前出・トレーダー)と警戒する声が出ている。
■プロの予想にばらつき
CNBCは「JPモルガンのアナリストは『株式市場からどれだけの資金が流出するかについてはさまざまな予測があり、世界全体では1700億ドルの資金が株式市場から流出する恐れがある。ただ、その結果として株が下落すれば買いのチャンスになる』と指摘している。また一部のストラテジストによれば、月末と四半期末のボラティリティがすでにデリバティブ市場で出始めている可能性があり、投資家もすでに株式保有をシフトさせている可能性があるため、あまりリバランスが多く起こらない可能性もある」と冷静な見解も伝えていた。ゴールドマンの試算では年金による株式売却は760億ドルといい、各社の予想にばらつきが大きいことも留意したい。
その6月末のリバランス売りに関して、サスケハナ・ファイナンシャル・グループは24日付のリポートで「メディアが年金のリバランスによる売りを指摘し始める一方、過去を振り返るとリバランス前後のS&P500の動きは控えめだ」と指摘した。1997年以来、四半期末までの1週間を残して株式が債券を10%以上アウトパフォームしていたケースは12回あったという。この12回のうち、四半期末の最終週の株式の平均リターンは36bpsだったといい、株が債券より強かったからといって、リバランスの影響で必ずしも月末にかけて株式が弱くなるわけではないとのこと。
■米大統領選のアノマリー
特に今年は11月に米大統領選挙を控えている。相場のアノマリー分析を手掛けるトレーダーズ・アルマナックによれば、今年は新型コロナの感染拡大で1~6月に荒っぽい展開となったが、大統領選挙の年の米株は7~9月期(3Q)まで強い傾向があるという。その23日付のリポートによれば「今年の弱気相場は3月23日に終了したが、過去の軟調なスタートに続き、ダウ工業株30種平均とS&P500指数は歴史的にみて9月まで強い基調が続いた後、大幅な反落を経験し、年末には反発するだろう」と指摘。ナスダック総合指数の選挙年のパターンはデータが1971年以降でダウやS&P500(1950年以降)と比べてデータが少ない点で多少異なるが、第3四半期後半のピークを示唆しているという。バリュー株が弱い相場が日米とも続き、相場全体のトレンドを占う上で目先のリバランスも重要だが、大統領選挙独自のアノマリーを踏まえれば過度に悲観的になる必要はなさそうで9月までは米株に関しては強気を維持したいところ。日本株に関しては解散総選挙などの起爆剤が必要かも知れない。(QUICK Market Eyes 片平正二)