国内公募投資信託の新規設定が急減している。今年の4~6月はわずか32本で、1~3月の86本を大幅に下回った(図1)。4~6月期としては過去10年間で最も少ない。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で新しいファンドの投入が見送られ、資金の集まりも鈍かった。7月以降にどれだけ回復するかが注目される。
■上期の設定額首位は「nextWIN」
2020年上期(1~6月)に期間を広げてみても、新規設定本数は過去10年間で最低水準。この半年の新しいファンドを個別にみると、当初設定額首位は「GSフューチャー・テクノロジー・リーダーズ Bコース(為替ヘッジなし)<愛称:nextWIN>」(35312202)の701億円だった(図2)。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが2月25日に運用を開始したファンドで、世界の株式のうちテクノロジーの発展により恩恵を受ける企業に投資する。野村証券1社のみで販売した。
コロナショックがやや一服した4~6月では、上期3位の「JPMグローバル高利回りCBファンド(限定追加型)2020-06」(17311206)が293億円で最も多かった。購入期間が限られる限定追加型で、先進国の転換社債(CB)に投資する。上位10本中、4~6月の新規設定ファンドは2本のみだった。
■当初設定額は小粒に
歴代上位と比べると、20年上期に新規設定されたファンドはどれも小粒だ。「nextWIN B」の当初設定額は、19年に1482億円を集めて年間トップだった「ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンド(愛称:アメリカン・ロイヤルロード)」(AW31119C)の半分にも届かなかった。さらに2000年2月に設定された過去最大の「ノムラ日本株戦略ファンド(愛称:Big Project-N)」(01311002)の7924億円と比べると、10分の1以下にとどまる(図3)。
最近の投信業界では新しく設定したファンドを大々的に販売するスタイルが下火になり、ある程度の運用実績があるファンドに資金が集まりやすい傾向にある。こうした潮流の変化にコロナショックが重なり、新規設定本数と当初設定額の低迷につながったとみられる。運用効率の悪い小規模ファンドの乱立を避ける流れは続きそうだが、大手証券会社がコロナ禍で自粛していた対面営業を再開したこともあり、7月に向けて個人マネーの動きが回復しつつあるとの指摘も出ている。(QUICK資産運用研究所=西本ゆき、西田玲子)