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新常態に直面する米不動産 強い「住宅」と落ち込む「商業」

知人の不動産ブローカー(仲介業者)に依頼して近所の住宅を5軒、内見した。「過去2週間で少なくとも3軒が売れた」。このブローカーは日本円に換算して1億円前後の住宅の市場が活発に動いていると話す。米ロサンゼルス西部のプラヤビスタでの話だ。

全米不動産協会(NAR)が6月22日に発表した5月の中古住宅販売件数は季節調整済みで年換算391万戸。前の月を9.7%下回り、予想中央値の409万戸に届かなかった。前年同月比では26.6%減で1982年以来の減少率を記録した。1982年当時の住宅ローン金利は約18%だった。ダウジョーンズのデータによると、25日時点の米国の30年物住宅ローン固定金利の平均は3.36%。15年物金利は2.87%と歴史的な低水準にある。

米国の住宅市場は日本と異なり、中古住宅が取引の約9割を占める。築100年近い物件でも活発に取引される。契約はエスクローという第三者機関を使用し、取引を公平にするため、物件の情報を徹底開示すると同時に資金を管理する。価格などの条件で合意してからエスクローが閉まるまで通常は30~45日かかるため、5月の中古住宅販売は3月中旬~4月末に契約した物件だ。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて全米の幅広い地域でロックダウン(都市封鎖)措置が導入された時期と一致する。

5月の中古住宅販売件数は非常に弱い数字だったが、不動産者業者は意外にも楽観的だ。6月はじめの週末からオープンハウス(物件の内見会)を再開したところ問い合わせが多いらしく、強い感触を得ていると聞く。在庫が少ないことも寄与して価格は底堅い。むしろ昨年と比べると価格が上がっている。

住宅市場に比べて商業用不動産は不透明だ。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務がニューノーマルになった。広めの住宅の需要が高まったが、事務所の需要は弱いままだ。ファイナンシャル・プランナーの免許も持つ知人は、医療関連のREIT(不動産投資信託)の配当を50%カットするとの連絡を受けた。オフィスビルのREITが苦戦しているとも話す。

米国の不動産市場のシーズンは4月から7月だ。今年の事実上のスタートは6月になる。ようやく再開した住宅市場は上向く公算が大きい。商業用不動産については、5月の取引額が前年同月比で79%急減したとブルームバーグ通信が伝えた。米ABCニュースは「長く続いた商業用不動産のブームが終わる」可能性があると伝えた。週末に内見した住宅の近くで、レストランが閉店したとのバナーが目に入った。

(このコラムは原則、毎週1回配信します)

Market Editors 松島 新(まつしま あらた)福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て2011年からマーケット・エディターズの編集長として米国ロサンゼルスを拠点に情報を発信

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