大和証券グループ本社(8601)傘下の大和証券は7月1日、吉祥寺支店(東京都武蔵野市)の1階を改装し、喫茶店とのコラボレーション店舗をオープンした。吉祥寺はファッションや演劇、音楽など文化活動が活発で、住みたい街としても人気が高い。喫茶店「珈琲所 コメダ珈琲店」を展開するコメダホールディングス(3543)傘下のコメダ(名古屋市)と組む。同支店はJR吉祥寺駅北口の好立地にあり、1階を気軽にくつろげる喫茶店、2階を資産運用の相談ができる窓口とすることで、投資家層の拡大につなげる。
■投資について考えるきっかけに
大和の荻野明彦専務は「自身のライフプランやお金、投資について考える機会がなかった人たちにとって、考えるきっかけの場になれば」とコラボ店舗の狙いを語る。大和が力を入れる持続可能な開発目標(SDGs)関連や投資にまつわる本を中心に取りそろえ、コーヒーを片手に金融情報に触れることができる。大和証券グループの大和フード&アグリが生産した野菜などを使った食事メニューも提供する予定だ。
選書は金融情報サービスのQUICK(東京・中央)が携わった。「吉祥寺という街の文化を意識して、投資本だけでなくSDGsにつながるアートの本も選んだ」(事業戦略本部)。正体不明の路上芸術家、バンクシーの本なども並ぶ。同社が提供する電子看板(デジタルサイネージ)では本の紹介を表示するようにした。
大和の荻野専務は「経済的な価値だけでなく、社会的な価値を提供する場でなければならない」と、これからの証券会社の店舗の在り方を示すという意義を強調する。証券と喫茶という異色のコラボ店舗が、金融の新たな情報発信基地になる可能性もありそうだ。〔日経QUICKニュース(NQN)〕