7月6日の東京株式市場で東京エレクトロン(8035)が連日で株式分割考慮後の上場来高値を更新した。7日も続伸し一時、3万円の大台を超えた。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとした半導体需要拡大の追い風に乗っている。今後の業績や株価の見通しについて市場関係者に聞いた。
■「半導体の生産販売が回復」
今中能夫・楽天証券経済研究所チーフアナリスト
社会全体でテレワークが一段と進みデータセンター投資が活発化している。投資家はこの点を評価している。6月29日に米半導体大手マイクロン・テクノロジーが発表した3~5月期決算でDRAM、NANDの生産販売が回復に向かっていることが確認できたのも、東エレクの事業環境の良好さを連想させた。日本は新型コロナの感染者数が世界的に見れば少なく、ライバルの米ラムリサーチなどと比べ工場の稼働状況に不安感が乏しいことも大きい。次世代通信規格「5G」向けの伸びを考えれば割高感はない。
■「来期の増益も織り込み」
花屋武・SMBC日興証券アナリスト
投資家が懸念していたメモリー向け需要に関し、会社側が市場想定以上に強く見ていることが最近、明らかになり、この点が大きい。ロジック(演算用)半導体向けも堅調だ。ただ、4~6月期決算に関しては通期予想を6月18日に出したばかりで、サプライズ的な内容となる可能性が低い。この点は中間決算でも変わらない。
現在の株価は22年3月期の増益もある程度織り込んだ水準で割安感はない。リスクはデータセンター向けの動向。半導体メーカーはデータセンター向け投資を20年前半に積み上げており、今後はブレーキをかける可能性がある。〔日経QUICKニュース(NQN)宮尾克弥〕