コロナショックに揺れた2020年上期(1~6月)の投資信託は、主に先進国株式に投資するファンドの運用成績が好調だった。6カ月のリターン上位にはフィンテックや人工知能(AI)、セキュリティーなどのテーマ型を含め、テクノロジー関連企業に集中投資するファンドが多かった。一方、下位には国内外の不動産投資信託(REIT)で運用し、高配当をうたう毎月分配型ファンドがずらりと並んだ。
■首位の「イノベーティブ・フューチャー」、30%超のプラス
国内公募の追加型株式投資信託(ETF、ラップ・SMA・DC専用を除く)のうち、6月末時点の純資産総額(残高)上位100本を対象に、6カ月リターン(分配金再投資ベース)が高い順にランキングしたところ、1位は日興アセットマネジメントが運用する「グローバル・プロスペクティブ・ファンド<愛称:イノベーティブ・フューチャー>」(02312196)で、30.4%のプラスだった(図1)。1カ月リターンもプラス11.6%と好調だった。
同ファンドは世界の株式のうち、劇的な生産性向上やコスト低下などの「破壊的イノベーション」を実現しうる企業に投資する。最新の月次レポート(5月29日時点)によると、米国への投資が9割近くを占め、電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)や決済サービスを手がけるスクエア(SQ)などが上位に組み入れられている。
■債券で運用する「花こよみ」が9位に
2位の「グローバル・フィンテック株式ファンド<グローバル・フィンテック株式ファンド(1年決算型)>」(0231116C)は26.1%のプラス。6月末時点の1カ月リターンはプラス12.7%で1位だった。世界の株式のうち成長期待の高いフィンテック関連企業に投資する。5月末時点の米国への投資割合は6割超で、「南米のアマゾン・ドット・コム」とも呼ばれるアルゼンチンの電子商取引(EC)大手のメルカドリブレ(MELI)なども組み入れている。
9位の「三菱UFJ グローバル・ボンド・オープン(毎月決算型)<愛称:花こよみ>」(03311037)は、上位10本中で唯一の先進国債券型。6カ月リターンは8.5%のプラスだった。6月30日時点で約7割をオーストラリア、残りの約3割をシンガポールの債券に投資している。5月に投資先を米国からオーストラリアに変更した。
■国内REIT型、回復に遅れ
6月末時点の6カ月リターン最下位は、「ワールド・リート・オープン(毎月決算型)」(03313047)だった(図2)。世界のREITを投資対象とし、米国への投資が6割を超える。
下位10本の6カ月リターンはいずれも20%超のマイナスだったが、1カ月リターンでは「海外REIT型」など5本がプラスに転じた。一方、1カ月リターンもマイナスだった残り5本は全て「国内REIT型」だった。国内REITは東京五輪の延期やインバウンド減少の影響が大きく、相場回復が遅れている。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)