新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない米国で「コロナワクチン」に関する材料の出たバイオ関連や製薬株に買いが殺到する場面が相次いでいる。13日の取引ではモデルナやアルティミューンが急騰した。
■モデルナが14%高―米系証券が投資判断買い、目標株価90ドルでカバレッジ
13日の米国市場でバイオ企業のモデルナが急反発し、14.64%高の71.78ドルで終えた。一時は5月19日以来、2カ月ぶりの高値水準を回復した。
ジェフリーズが13日付のリポートで投資判断を買い(バイ)、目標株価90ドルでカバレッジを開始したことが好感された。リポートでは同社が開発を行っている新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンが効果を発揮し、2021年初頭までに承認されて米国や世界中から数十億ドル規模の注文があるとすれば、市場ではポジティブ・サプライズが広がるだろうなどと指摘。「ワクチンが効果を発揮するかどうかについて市場の見方、評価も大きく分かれているが、承認されれば今後数年間で50億ドル以上の注文が可能になると信じている」とし、ワクチン開発が成功するとみていた。
■アルティミューンが12%高―新型コロナワクチン候補の前臨床試験で有望な結果
13日の米国市場でバイオ医薬品メーカーのアルティミューン(@ALT/U)が急騰。前週末比11.9%高の25.00ルで取引を終えた。
アルティミューンは13日、アラバマ大学バーミンガム校(UAB)が新型コロナウイルスワクチン候補「AdCOVID」のマウスを使った前臨床試験で有望な結果がみられたと発表した。この結果は「AdCOVID」を第1相開発に進めることを支持するものであり、第4四半期(10~12月期)に試験用ワクチンの製造を開始する予定としている。
■ファイザーが4%高―FDAが新型コロナワクチンを優先審査
13日の米国市場で製薬大手のファイザーが大幅高。前週末比4.1%高の35.21ドルで取引を終えた。同社は13日、独ビオンテックと共同開発する新型コロナウイルスワクチン候補4種類のうち、2種類が米食品医薬品局(FDA)による優先審査の対象に指定されたと発表した。7月開始予定の大規模な臨床試験の結果が良かった場合、実用化に向けた手続きを迅速化でき、早ければ年内の供給開始を見込むという。
優先審査は難病の治療薬などを早期に承認するための制度で、対象に選ばれると審査手続きで優先的にFDAの支援を受けられる。5月にはモデルナが開発中の新型ウイルスワクチンが優先審査の対象に選ばれていた。